【アナリスト水田雅展の銘柄分析】FPGは高値圏での自律調整一巡、今期大幅増収増益見通しを評価して13年5月高値試す

銘柄分析

 ワンストップ型ファイナンシャルサービスを展開するFPG<7148>(東1)の株価は、14年12月高値1666円から反落したが、1月19日の1361円から切り返し、20日は前日比130円高の1504円まで急伸する場面があった。スイスフランの急騰に関する19日のリリースも安心感に繫がり、高値圏での自律調整が一巡したようだ。好業績見通しを評価して上値を試す展開だろう。なお1月30日に第1四半期(10月~12月)の業績発表を予定している。

 子会社(特別目的会社SPC)が運営するオペレーティング・リース事業の組成・販売・管理などを行うタックス・リース・アレンジメント事業を主力としている。さらにM&Aを活用して事業領域を広げ、保険仲立人事業、M&Aアドバイザリー事業、プライベートバンキング事業、不動産関連事業、証券事業、投資顧問事業、信託事業などワンストップ型ファイナンシャルサービスを展開している。

 13年3月にフィンテックグローバル証券(現FPG証券)を子会社化して証券事業、13年6月に子会社FPGリアルエステートを設立して不動産関連事業、14年4月に第一投資顧問(現FPG投資顧問)を子会社化して投資顧問事業、そして14年10月にベルニナ信託(現FPG信託)を子会社化して信託事業に進出した。

 タックス・リース・アレンジメント事業は、航空機や船舶を主対象としてリース組成し、出資金販売に伴うSPCからの手数料収入を収益柱としている。販売ネットワークの開拓を進め、14年9月末時点で1847の会計事務所および84の金融機関(地銀、証券会社など)と提携している。13年11月には大手航空機リースマネジメント会社であるアメンタム社(アイルランド)の株式25%を取得して資本業務提携し、航空機リース組成を強化した。

 12年10月の東証1部市場へ指定替えによる信用力向上、公募増資や利益積み上げによる財務体質強化、提携会計事務所・金融機関の積極開拓などで、金融機関からの資金調達力、リース事業の案件組成能力、販売提携先からの紹介を含めた出資金販売力が大幅に強化されている。

 中期戦略としてM&Aも積極活用し、高収益オーナー企業や富裕層などの顧客(投資家)に対して多様な金融商品・サービスを提供するワンストップ型ファイナンシャルサービスを強化する方針だ。

 なお当社の収益構造については、顧客(投資家)がリース事業に出資するか否かの意思決定を顧客自身の業績動向が判明する決算月近くに行う傾向があるため、当社の売上高も第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の構成比が高くなる傾向が強いとしている。

 今期(15年9月期)の連結業績見通し(10月30日公表)は、売上高が前期比40.7%増の88億03百万円、営業利益が同42.5%増の49億33百万円、経常利益が同40.4%増の45億83百万円、そして純利益が同35.8%増の27億円としている。配当予想については同5円増配の年間31円(期末一括)としている。

 信用力向上に伴って全国の会計事務所や金融機関からの顧客紹介が一段と増加傾向であり、15年度からの法人実効税率の段階的引き下げ期待も背景として、業績好調な顧客(投資家)からの投資需要が強く、出資金販売額が好調に推移する。リース事業組成金額は同18.9%増の2004億88百万円、出資金販売金額は同24.2%増の470億82百万円の計画としている。

 なお1月19日には「スイスフランの急騰による当社グループの業績やサービスへの影響はない」というリリースを発表している。

 主力のタックス・リース・アレンジメント事業の拡大が牽引し、小口運用商品の販売を開始した不動産関連事業の収益寄与も本格化して大幅増収増益見通しだ。通期見通しに増額の可能性があり、中期的にもワンストップ型ファイナンシャルサービスの事業展開で収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、14年12月高値1666円から利益確定売りで一旦反落したが、1月19日の1361円から切り返し、20日は前日比130円(9.46%)高の1504円まで急伸する場面があった。スイスフランの急騰に関する19日のリリースも安心感に繫がり、高値圏での自律調整が一巡したようだ。

 1月20日の終値1493円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS86円35銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間31円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS337円39銭で算出)は4.4倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を突破し、週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から反発した。サポートラインを確認した形であり、好業績見通しを評価する流れに変化はなく上値を試す展開だろう。

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