【どう見るこの相場】日銀のETF買い入れ額倍増で日経平均株価上昇だが違和感

■日銀のETF買い入れ額倍増で日経平均株価上昇だが違和感

 先週の重要イベントだった米FOMC(連邦公開市場委員会)および日銀金融政策決定会合を通過した。米FOMCでは予想どおり追加利上げを見送り、その声明文を受けて年内追加利上げ観測が後退する形となった。そして日銀金融政策決定会合ではETF買い入れ額をほぼ倍増させる追加緩和を決定した。

 29日の日銀の決定を受けて直後に乱高下する場面があったが、日経平均株価は終値で前日比92円高と上昇した。ETF買い入れ額倍増とマイナス金利拡大見送りを好感した形だ。ただし為替が1ドル=103円近辺まで円高方向に傾いたことを勘案すれば、日経平均株価の上昇には違和感が拭えない。

■今週は週末の米7月雇用統計に注目

 29日の日本市場終了後、ニューヨーク外国為替市場では一時1ドル=101円97銭(終値は1ドル=102円00銭~10銭)とさらに円高が進行し、CME日経225先物は大幅下落した。今週の日本株は軟調なスタートとなりそうだ。

 そして今週は週末8月5日の米7月雇用統計が注目イベントとなる。米7月雇用統計を受けて米国の年内追加利上げ観測が強まるのか、それとも後退するのかを見極めたいとして様子見姿勢を強めそうだ。

■政策期待剥落と円高警戒が日経平均株価下押し要因

 また今週は8月2日に経済対策の閣議決定、8月3日に内閣改造が予定されている。ただし経済対策の規模や主な内容は既に報道で伝わっている。内閣改造で特にサプライズ人事がなければ、政策期待剥落と円高警戒が日経平均株価の下押し要因となりかねない。

■内需系好業績株の押し目を拾う

 本格化する4~6月期の業績発表では、輸出関連セクターで4~6月期が減益でも、通期予想を据え置いた銘柄を買い上げる動きが目立った。ただし需要の急速な回復が期待し難く、円高傾向が長期化する可能性も考慮すれば、通期予想据え置きは楽観的すぎる感が強い。

 個別物色では地合い悪化に押された際の内需系好業績中小型株の押し目を拾いたい。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る