噛んだガムは捨てよ=犬丸正寛の相場格言

■噛んだガムは捨てよ(意味のない事はするな)

 甘味のなくなったガムをいつまでも、くちゃくちゃ噛むのはみっともないし顎(あご)が痛くなるだけだから、ムダな意味のないことはするなという教えです。

 ガムを噛む習慣の強いアメリカ、中国、香港などの人がよく口にする言葉のようです。実際、筆者が整体治療を受けている中国の先生はこの言葉をよく口にされます。中国では人口が多いためでしょうか、利用価値のなくなった人とはさっさと手を切って次の新しい人と組むそうです。その先生が日本で今の場所で店を構えるまでに短期間に数ヶ所変わったそうです。

 私たちの子供の頃は、モノがなかった時代でしたから、次にいつ買ってもらえるか分からないガムを甘味が消え苦味の出てきたのにいつまでも噛んでいたものです。今は、虫歯予防のキシリトール入りガムが出まわり、甘いもの欲しさにガムを噛んだ頃とはずいぶん変わりました。

 株式市場での場合、「材料出尽くしの株は買うな」という教えがありますが、まさにこの言葉と同じでドライさを求めている点で似ています。しかし、なかなかドライになれないのが、われわれ日本人投資家のよいところであり悪いところです。とくに、株の場合、ガムの甘味に当るのが、新製品や好決算などの好材料です。いくらよい材料でもガムのようにいつまでも噛んでいたら甘味が消え、材料としての値打ちがなくなります。

 しかし、日本の投資家は筆者のようにモノのない時代を過ごして来た人達が多いためか、いつまでもこの材料はまだ通用するはず、ガムにもどこかにまだ甘味が残っていると噛み続けて、折角儲かっていた株の売り時を逃がしてしまいます。好材料が株価に響かなくなったら、ガムの甘味がなくなった、つまり「好材料出尽くし」、あるいは「知ったらしまい」で売ることを考えるべきです。

 経営においては、少し違うように思われます。日本には「人は活かして使え」という言葉があります。若い人達は、ガムのように噛んで捨てられることに抵抗はないようですが、これからの少子高齢化や団塊世代の大量定年時代を迎え、人手が不足するようになるだけに、日本の終身雇用のよさが見直される時代が来るのではないでしょうか。人のよいところを見つけて噛み続けてあげるのがこれからの経営者かもしれません。

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