川崎近海汽船は戻り歩調、19年3月期減益予想だが保守的

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 川崎近海汽船<9179>(東2)は近海輸送と内航輸送を主力としている。19年3月期減益予想だが保守的だろう。6月26日には固定資産(船舶)譲渡と特別利益発生を発表した。7月3日にはRORO船を利用した静岡~九州間のモーダルシフトが物流環境特別賞を受賞したと発表している。株価は調整一巡して戻り歩調だ。

■近海輸送と内航輸送を展開

 石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門、新規分野として日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備・洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船事業(OSV部門)を展開している。18年3月期の売上高構成比は近海部門が28.5%、内航部門が67.6%、OSV部門3.9%、その他0.0%だった。

 内航部門では、トラックドライバー不足に対応した長距離幹線輸送のモーダルシフトの受け皿となるべく、フェリー輸送の航路拡大を推進している。18年6月には岩手県宮古港~北海道室蘭港の新たなフェリー航路を開設予定である。7月3日にはRORO船を利用した静岡~九州間のモーダルシフトが物流環境特別賞を受賞したと発表している。

 なお日本初のLNG燃料フェリー就航に向けて川崎汽船<9107>と共同で技術的検証を本格化している。また新規分野のOSV部門では子会社のオフショア・オペレーション(OOC)がオフショア・ジャパン(OJC)を18年7月1日付で吸収合併する。

 収益面では輸送量、運賃市況、為替、燃料油価格、および燃料油価格変動に伴う燃料調整金などが影響する特性がある。

■19年3月期減益予想だが保守的

 19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比10.0%増の454億円、営業利益が21.2%減の20億円、経常利益が25.1%減の19億50百万円、純利益が0.4%減の12億50百万円としている。

 前提条件は為替が1ドル=110円、内航燃料油価格(C重油)が5万3700円/KLである。不透明感が強いとして減益予想だが保守的だろう。6月26日には固定資産(船舶)譲渡と特別利益発生(譲渡益約580百万円)を発表した。

 なお19年3月期の配当予想は、17年10月1日付株式併合(10株を1株に併合)を考慮した換算後の18年3月期と同額の年間120円(第2四半期末60円、期末60円)としている。予想配当性向は28.2%となる。

■中期経営計画で21年3月期営業利益34億円目標

 2018年度中期経営計画(19年3月期~21年3月期)では、有利貨物の取り込みや船隊整備による近海部門の収支改善、新鋭船投入や新規航路開設による内航部門のサービスの充実、OSV部門の収益拡大、20年適用開始予定のSOx規制への適切な対応を推進する。

 経営目標値には、21年3月期の売上高495億50百万円(近海144億円、内航330億円、OSV21億50百万円)、営業利益34億円(近海50百万円、内航32億50百万円、OSV1億円)、経常利益33億50百万円、純利益21億50百万円、ROE7.8%などを掲げている。前提条件は為替が1ドル=110円、内航燃料油価格(C重油)が6万9200円/KLである。新造船等に対する投資額は3年総額168億円の予定としている。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 株価は3月安値3530円を割り込むことなく、6月22日の直近安値3600円から切り返している。調整一巡して戻り歩調だ。

 7月3日の終値3740円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS425円81銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想年間120円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS8323円69銭で算出)は約0.4倍である。時価総額は約110億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインの形だ。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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