【アナリスト水田雅展の銘柄分析】NSユナイテッド内航海運は16年3月期は微減益予想だが増額含み、指標面の割安感も評価

銘柄分析

 NSユナイテッド内航海運<9180>(JQS)は4月30日に15年3月期決算を発表した。株価は配当権利落ちも影響した3月末の直近安値圏から切り返している。16年3月期連結業績は微減益の会社予想だが、保守的な印象が強く増額含みだろう。指標面の割安感も評価して1月の年初来高値630円を目指す展開が期待される。

 NSユナイテッド海運<9110>グループで、営業力の一層の強化を図るため14年10月1日付で商号を新和内航海運からNSユナイテッド内航海運に変更した。

 鉄鋼向けの原料炭・石灰石・鋼材、電力向けの石炭、建設向けのセメントなどを輸送する内航海運事業を主力として、その他事業(LPGタンクローリー等輸送事業、港湾運送事業)も展開している。

 4月30日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比4.3%増の219億56百万円、営業利益が同22.7%減の14億45百万円、経常利益が同22.5%減の13億98百万円、純利益が同16.8%減の9億63百万円だった。計画に対して減益幅が縮小した。

 配当予想は4月10日に10円増額修正して前期と同額の年間20円(期末一括)とした。なおROE(自己資本当期純利益率)は同4.8ポイント低下して12.7%、自己資本比率は同4.0ポイント上昇して41.4%となった。

 セグメント別動向を見ると、内航海運事業は売上高が同4.4%増の213億36百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同22.6%減の13億90百万円だった。鉄鋼・セメント向け石灰石専用船、電力向け専用船が好調に推移したが、船舶調達コストの上昇などで減益だった。その他事業は売上高が同1.4%増の6億20百万円、営業利益が同25.1%減の52百万円だった。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)54億93百万円、第2四半期(7月~9月)55億52百万円、第3四半期(10月~12月)54億89百万円、第4四半期(1月~3月)54億22百万円と堅調に推移した。

 営業利益は第1四半期1億09百万円、第2四半期4億26百万円、第3四半期4億65百万円、第4四半期4億45百万円だった。第1四半期の営業利益は船舶ドック入りが集中して修繕費が大幅増加したことが影響したが、第2四半期以降は堅調に推移した。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(4月30日公表)は売上高が前期比1.4%増の222億66百万円、営業利益が同1.6%減の14億23百万円、経常利益が同1.1%減の13億83百万円、純利益が同2.7%減の9億38百万円、配当予想が前期と同額の年間20円(期末一括)としている。

 鉄鋼関連貨物、セメント関連貨物、電力関連貨物を中心として輸送需要が好調に推移する。コスト上昇などを考慮して会社予想は微減益見通しとしているが保守的な印象が強い。増額含みだろう。

 なお4月30日に代表取締役の異動を内定した。任期満了に伴い、経営基盤拡充強化に成果が現れたことを機に代表者の異動を行う。6月25日開催予定の第54回定時株主総会ならびに取締役会において正式決定する。

 株価の動きを見ると、3月期末の配当権利落ちなども影響した3月27日の直近安値512円から切り返し、足元では570円台まで戻している。16年3月期の微減益予想に対するネガティブ反応は見られない。

 5月7日の終値576円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS87円06銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は3.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS740円44銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて、13週移動平均線も一気に回復した。調整が一巡して強基調に転換したようだ。16年3月期連結業績は微減益の会社予想だが、保守的な印象が強く増額含みだろう。指標面の割安感も評価して1月の年初来高値630円を目指す展開が期待される。

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