【編集長の視点】リックソフトは上場来安値から続急伸、テレワーク関連株買い再燃を3Q好決算が支援

リックソフト<4429>(東マ)は、前日17日に360円高の4295円と続急伸して引けた。東証マザーズ市場の値上がり率ランキングの第47位にランクインし、3月13日に突っ込んだ上場来安値3585円からの底上げを加速させた。前日に日経平均株価の日中値幅が1178円と乱高下し大引けでは9円高の小反発とどまったのとは対照的に、同社株には売られ過ぎとして底値買いが増勢となった。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、防疫対応のテレワークが広がっており、同社が提供するビジネス用のチャットツール「Slack」を見直し買い手掛かりとなっており、今年1月14日に発表した2020年2月期第3四半期(2019年3月~11月期、3Q)決算が、2月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示し、上ぶれ着地期待を高めていることもフォローの材料視されている。

■昨年11月から開始のビジネスチャット「Slack」の導入企業が拡大

 テレワークは、政府が公表した新型コロナウイルス対策基本方針により在宅勤務や時差通勤が勧奨されたことから導入企業が広がっている。同社のネット上で短文のビジネスチャットをやり取りできるビジネスコラボレーションツール「Slack」は、昨年11月にSlack Technologies社(米国カリフォルニア州)のパートナープログラムに参画してサービスを開始し、導入支援や業務アプリケーション提供などさまざまなサービスメニューを展開しており、テレワークを強力支援する。テレワーク企業の拡大とともに、導入企業が増加し業績押し上げ効果が期待されている。

 一方、2020年2月期3Q業績は、前年同期比34.8%増収、44.0%営業増益、30.5%経常増益、18.9%純益増益と伸び、2020年2月期通期予想業績に対する利益進捗率は、85%~86%と目安の75%をオーバーした。業界標準となっているアジャイル(俊敏)型のプロジェクト管理ツール「Jira Cloud」のライセンス販売、導入支援が、国内向け、海外向けとも好調に拡大し、昨年7月にリリースした自社開発の対応アプリ「WBS Gantt-Chart for Jira Cloud」のベータ版のダウンロード数が、昨年11月末に1600を超えたことなどが寄与した。

 目下集計中の2020年2月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ30億円(前期比20.9%増)、営業利益4億600万円(同9.4%増)、経常利益4億800万円(同5.8%増)、純利益2億8300万円(同11.0%増)と連続の過去最高更新を見込んでいる。同社は、前2019年2月期業績も、昨年2月の新規株式公開(IPO)直後の昨年4月に上方修正しており、昨年12月に販売を開始した「WBS Gantt-Chart for Jira Cloud」のクラウド版(正式版)の上乗せや、足元のテレワーク特需などから再現も期待されている。東洋経済会社四季報最新号は、営業利益を4億5000万円と観測しており、今年4月14日に発表を予定している同社の2月期決算が要注目となる。

■25日線から25%超マイナスかい離し売られ過ぎ修正で3分の1戻しを再現

 株価は、今年1月14日に開示した2020年2月期3Q好決算を歓迎してストップ高して、2019年8月に実施した株式分割(1株を2株に分割)の権利落ち後高値7260円まで買い進まれ、新型コロナウイルスの感染拡大により5200円安値まで調整した。同安値からテレワーク関連株人気を高めて5910円まで底上げ、分割落ち後高値から直近安値までの調整幅の3分の1戻しをクリアした。ただ足元では、世界同時株安に巻き込まれて再調整、分割権利落ち後安値3585円まで再調整し、底上げ転換した。25日移動平均線からはなお25%超のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、底上げに弾みをつけまず分割権利落ち後高値から同安値への調整幅の3分の1戻しを再現、4800円台奪回に進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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