トーソーは上値試す、22年3月期減益予想だが保守的

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 トーソー<5956>(東2)はカーテンレールやインテリアブラインドの大手である。中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値製品の拡販などを推進している。22年3月期は新型コロナウイルスの影響などを考慮して減益予想としているが保守的だろう。上振れを期待したい。株価は年初来高値圏でモミ合う形だが、日柄調整完了して上値を試す展開を期待したい。低PBRも見直し材料だろう。

■カーテンレール・インテリアブラインドの大手

 室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。カーテンレールやインテリアブラインドの大手で、国内市場シェアはカーテンレールが約50%、ブラインドが約15%である。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は室内装飾関連事業が99%、その他が1%、営業利益構成比は室内装飾関連事業が99%、その他が1%だった。室内装飾関連事業の商品別売上構成比はカーテンレール類が43%、ブラインド類が46%、間仕切類・他が11%、販路別売上構成比はインテリア専門店・工事店が72%、ホームセンターなどの大型小売業が14%、海外販売が2%、その他(メーカーへの資材販売など)が12%だった。

 生産は国内、インドネシア、中国で行い、国内外からの仕入品とともに、主に住宅市場向けに代理店等を通じて販売している。なお100%子会社のトーソー流通サービスを21年4月1日付で吸収合併した。経営効率化を推進する。

 収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。

■高付加価値製品の拡販を推進

 2016年度にスタートした10年間の経営ビジョン「Vision2025」では、目標値(新型コロナウイルスの影響を勘案して最終年度を26年度に変更)に売上高270億円、自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を掲げている。

 中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、住宅分野での深耕、高付加価値製品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新製品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を推進している。

 そして第2フェーズ(20年度~23年度)目標値を23年度売上高240億円、ROE6%以上としている。住宅分野の停滞を補うため、高収益体質への転換に向けた取り組みとあわせて、一層の成長戦略(非住宅分野、用途開発、海外事業、新規領域)を推進する方針だ。

 20年10月には、遮像性と採光性の両方を兼ね備えたロールスクリーン「マイテックシリーズ プライベートスクリーン」が、公益財団法人日本デザイン振興会の2020年度グッドデザイン賞を受賞した。前年のカーテンロール「シエロシリーズ」に続いて2年連続の受賞だった。

■22年3月期減益予想だが保守的

 22年3月期の連結業績予想は売上高が217億円、営業利益が7億20百万円、経常利益が7億30百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が4億70百万円としている。収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため前期比増減率は非記載だが、21年3月期実績値との単純比較で見ると、売上高は1.3%増収、営業利益は34.4%減益、経常利益は36.0%減益、当期純利益は37.3%減益となる。配当予想は21年3月期と同額の10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。

 新型コロナウイルスの影響などを考慮して減益予想としているが保守的だろう。需要が回復基調であり、上振れを期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末時点の株主を対象として実施している。なお20年3月31日基準から、保有株式数および継続保有期間に応じた優待内容に変更(詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値圏でモミ合う形だが、日柄調整完了して上値を試す展開を期待したい。低PBRも見直し材料だろう。6月15日の終値は549円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS52円67銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1411円12銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約55億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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