【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アーバネットコーポレーションは下値を切り上げて強基調を確認、低PERや高配当利回りも支援材料

銘柄分析

 投資用マンションのアーバネットコーポレーション<3242>(JQS)の株価は、12月8日の320円から一旦反落したが、足元では280円近辺から反発の動きを強めている。下値を切り上げて強基調を確認した形だ。低PERや3%台半ばの高配当利回りも支援材料であり、14年1月の325円、そして13年7月の385円を目指す展開だろう。

 東京23区で投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。REIT、ファンド、海外投資家の参入など投資用ワンルームマンションに対する投資・購入マインドは旺盛であり、在庫不足のため販売価格は上昇傾向のようだ。日銀のサプライズ追加金融緩和、20年東京夏季五輪、脱デフレ、そして日本経済再生の流れも追い風となる。

 収益物件の保有も進めている。13年11月には東高円寺の賃貸マンション1棟を購入し、14年11月には当社開発物件である投資用ワンルームマンション「アジールコート荏原(仮称)」(16年3月末竣工予定)を取得した。

 また14年11月に販売用不動産の用地購入および当該資金の借り入れを発表した。投資用ワンルームマンション「麻布十番プロジェクト(仮称)」建設用地(物件売却は17年6月期予定)で、12月にはりそな銀行から11億円強の借り入れを実行した。

 今期(15年6月期)の業績(非連結)見通し(8月7日公表)は、売上高が前期比4.9%増の110億円、営業利益が同5.4%増の12億50百万円、経常利益が同5.9%増の10億50百万円、純利益が同10.3%減の6億85百万円としている。純利益は法人税等が増加して減益見通しのため、配当予想は配当性向30%を目標として同2円減配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。

 第1四半期(7月~9月)は売上高が前年同期比3.5倍の29億47百万円となり、営業利益は3億63百万円、経常利益は3億16百万円、純利益は2億01百万円で計画を上回る水準だった。通期ベースでも大幅増収、営業増益が期待される。

 土地価格上昇と建設コスト上昇によって売上総利益率が低下傾向を強めるという事業環境に対応して、投資意欲旺盛な台湾・シンガポール・香港・中国本土の海外投資家への直接販売など販売手法の多様化、川崎市・横浜市など人口増加・優良地域への開発地域の拡大、売上総利益率安定化に向けた分譲物件開発の平準化(毎期1件以上)などの施策を強化する方針だ。

 14年7月には投資用ワンルームマンション「アジールコート銀座東(仮称)」(15年2月末竣工、15年6月期売上計上予定)の売買契約を締結し、販売手法多様化の一環として進めている海外投資家への直接分譲の第一弾となった。また10月には投資用ワンルームマンション「西馬込Ⅳプロジェクト(仮称)」(15年8月末竣工、16年6月期売上計上予定)の売買契約、11月には投資用ワンルームマンション「アジールコート新宿(仮称)」(16年3月末竣工、16年6月期売上計上予定)の売買契約を締結している。

 株価の動きを見ると、12月8日の戻り高値320円から一旦反落したが、14年10月の直近安値圏240円台まで下押すことなく、足元では280円近辺から反発の動きを強めている。

 1月5日の終値286円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS33円08銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は3.5%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS153円34銭で算出)は1.9倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。強基調を確認した形だ。低PERや3%台半ばの高配当利回りも支援材料であり、14年1月の325円、そして13年7月の385円を目指す展開だろう。

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