【注目銘柄】大幸薬品は最安値から5連騰、消費者庁バトルと信用好需給が綱引き

注目銘柄

 大幸薬品<4574>(東1)は、今年1月12日に新型コロナウイルスの除菌製品「クレベリン 置き型」に関して、消費者庁から出されていた景品表示法に基づく措置命令に関して、東京地裁で仮の差し止めの決定を受け勝訴したが、1月20日に消費者庁が残り4商品に措置命令を発出し、同社も速やかに必要な法的措置を講じると表明しており消費者庁のバトルを嫌って上場来安値へストップ安した。と同時にカラ売りも急増し、信用取組は売り長となって逆日歩がつく好需給となっており、好悪材料が綱引きとなるなか売り方の買い戻しを期待する買い物が増勢となっている。

■「クレベリン」の在庫調整で集計中の2021年12月期業績は赤字転落

 「クレベリン 置き型」は、ボトル内の液体に顆粒剤を混ぜ合わせたあとに発生する二酸化塩素化ガスを固化して封じ込めゲル化した表面から使用期間にわたり徐放的に二酸化塩素ガスを揮散させ、玄関、リビング、寝室などの密閉空間に浮遊するウイルスや菌を除去する製品で、新型コロナウイルス感染症関連製品として人気化した。消費者庁は、この空間除去効果が景品表示法上の不当表示に当たるとして措置命令を発出したが、同社は東京地裁に差し押さえ中止を申し立て12日に勝訴した。ただ東京地裁は、残りの「クレベリン スティック」など4商品については同社の主張を退けており、このため同社は、13日に東京高等裁判所に即時抗告した。消費者庁は、東京高裁での審理が始まる前に4商品について措置命令を発出しており、同社は、「誠に遺憾」として法的措置を講じることを表明している。

 一方、同社の目下集計中で今年2月10日に発表予定の2021年12月期業績は、社会的な供給責任を果たすために製品在庫を手厚く保有していたウイルス除菌製品に棚卸資産の評価損が発生し、在庫調整のための生産停止の費用増も重なり大きく下方修正された。売り上げ125億円(前の期比28.9%減)、営業利益20億円の赤字(同56億5000万円の黒字)、経常利益34億円の赤字(同54億5400万円の黒字)、純利益28億円の赤字(同38億5100万円の黒字)と前の期の過去最高業績からの赤字転落を見込み、配当も前の期の年間25円から無配転落を予定している。2月10日の12月期決算発表時の次期2022年12月期の業績ガイダンスが注目されることになる。

■信用倍率は0.7倍と信用売り残が積み上がり逆日歩も

 株価は、2020年3月末を基準日に実施した株式分割(1株を3株に分割)の権利落ち安値1511円から新型コロナウイルス感染症関連株人気で分割権利落ち後高値2928円まで94%高したが、昨年8月の業績下方修正・赤字転換・無配転落で大きく調整し、今年1月の消費者庁の措置命令で上場来安値580円へストップ安した。この株価急落とともに信用売り残も積み上がり、信用倍率は0.72倍と株不足となり逆日歩もつく好需給となっている。強弱感が綱引きとなるなか、売り方と買い方の攻防が激化、方向感を探る展開が続こう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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