【どう見るこの相場】割り負け半導体関連株はグロース株相場でもバリュー株シフトでも二正面突破素地

 今週の当特集は、割り負け半導体関連株にフォーカスすることとした。半導体関連株は、信越化学工業<4063>(東1)、アドバンテスト<6857>(東1)、東京エレクトロン<8035>(東1)のビッグスリーに代表されるように、成長性は申し分ないが、投資採算的には高PER(割高)水準にあるグロース(成長株)の有力な一角を形成する。対極にあるのがバリュー株(割安株)でファンダメンタルズに問題がないにもかかわらず、低PER・高配当利回り水準に放置されており、景気敏感株やディフェンシブ株などに数多い。

 このグロース株とバリュー株は、両雄並び立たずのトレード・オフの関係にある。この人気・不人気のポイントは、いうまでも米国の長期金利の上昇・下落が握っている。前週末25日の米国市場でも、米国の10年物国債利回りが一時、2.50%と2019年5月以来の高水準まで上昇したことから、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は、153ドル高と続伸したものの、フィラデルフィア半導体株指数は、0.21%安と反落し、ハイテク株のウエートの高いナスダック総合株価指数も、反落した。

 週明けの東京市場のグロース株も影響を受けそうだが、そこで出番が回ると期待したいのが、当特集でフォーカスする割り負け半導体関連株である。半導体メーカー株、半導体製造装置株、半導体材料株など、成長性はビッグスリーにも比肩されるグロース株の側面とともに、低PER・PBR、高配当利回りなどバリュー株の側面を具備しているためで、今後も米国の長期金利が、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利引き上げの加速とともに上昇しても、グロース株であるとともにバリュー株である独自性を発揮する可能性があるためだ。いわば『一粒で2度美味しい』とキャッチコピーされた「アーモンドグリコ」のように、相場全体がどちらに動いても二正面とも突破する素地があるということである。

 この代表株は、前週末25日に昨年来高値を更新した新光電気工業<6967>(東1)である。同社株は、今3月期業績を3回上方修正し、配当も増配し、今年1月に5720円まで買い進まれ高値調整中だったが、同社主力製品の高機能半導体向けのフリップチップタイプパッケージの主要顧客の米半導体大手インテルが、大規模投資による半導体工場を建設することを発表したことで買い直されて高値を更新してきた。PERは、15倍台と東証第1部全銘柄平均の14.66倍台をやや上回るが、ビッグスリーに比べれば相対的に割り負けており、今後も1400億円を投資してフリップチップタイプパッケージの生産能力強化を続けることなどから、一段の上値追いも想定範囲内となる。

 割り負け半導体関連株には、3グループがある。第1グループは、新光電工と同様に今年1月以降に昨年来高値を更新し高値調整中の銘柄、第2グループが昨年9月以降の秋に昨年来高値を更新し、これからこの高値期日が到来する銘柄、第3グループが、この2月~3月の足元で昨年来安値を更新した銘柄である。いずれも低PER、高配当利回りで、なかにはPBRが1倍台を下回る銘柄も混在しており、順張り、逆張り、待ち伏せ買いなど多種多様な投資スタンスを可能にしてくれそうである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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