アイフリークモバイルはモミ合い煮詰まり感、23年3月期営業増益予想で収益改善基調

 アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。成長に向けた重点戦略として、次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野を注力分野としている。23年3月期は営業増益予想としている。コンテンツ事業ではユーザー獲得に向けた投資、CCS事業では専門領域に特化したエンジニアの育成などを推進する。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う展開だが煮詰まり感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■コンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開

 携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。中長期的にはCCS事業を基盤として、コンテンツ事業の収益化によって持続的成長の実現を目指す方針だ。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比はコンテンツ事業が11%、CCS事業が89%、利益構成比(全社費用等調整前営業利益)はコンテンツ事業が21%、CCS事業が79%だった。

 コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」を主力として、電子絵本アプリや知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツ、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」も展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。22年7月には着せ替えアプリ「はじめてのきせかえ」を遊びやすくリニューアルした。8月26日には、絵本アプリ「森のえほん館」において、ITリテラシー絵本シリーズ5作目として、永田浩一氏作の「おいで、あいたくなったら(メタバースの世界)」の配信を開始したと発表した。

 デジタルコンテンツについては、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。

 CCS事業は、21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併して運営体制を効率化した。

 IT技術者の確保に向けて22年7月には、グラングループ(グランディール、グランソル、グランデュオの3社)から技術開発部門の一部を譲り受ける(22年10月中予定)と発表した。多様な人的資本を確保し、IT技術者集団として、より強固で効率的な事業体制の構築を推進する。

■NFTコンテンツ分野も注力

 成長戦略としては、CCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。さらに次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。

 20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。

 21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社(現NUNW社)と、戦略的業務提携契約を締結した。そして21年11月にはFORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム」第1弾を本格始動した。

 21年12月には、ブロックチェーンに関するコンサルティング事業や暗号資産交換業向けウォレットシステム開発などを展開するHashPort社と、NFT分野における新たな取り組み開始に関する契約を締結した。

 22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と、障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。知育アプリを搭載したタブレット端末提供や、障がい児用アプリ開発に向けてテストマーケティングを実施する。

 22年3月にはJリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。

 また22年3月には、HashPort社とのNFT分野に関する取り組み内容の一部変更を発表した。予定していたNFTマーケットプレイス「CREPOS NFTマーケット」を開設するのではなく、HashPort社のNFT事業子会社であるHashPalette社が22年4月にサービスリリースするNFTマーケットプレイス「PLT Place」にて、CREPOSクリエイターのNFTを配信する。

 22年6月にはアーティストのためのXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を運営するPsychic VR Lab社と、メタバース・VR・AR・MR技術を包括する「XR領域」において、アーティスト/クリエイターの発掘・育成支援を目的とする連携を開始したと発表している。メタバース事業領域への新たな取り組みとして「CREPOS」クリエイターに向けた特別講義を提供する。

■23年3月期営業増益予想で収益改善基調

 23年3月期連結業績予想は売上高が22年3月期比12.9%増の29億64百万円、営業利益が4.9%増の1億70百万円、経常利益が21.8%減の2億02百万円、親会社株主帰属当期純利益が24.4%減の1億91百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の3円(期末一括)としている。

 第1四半期(4月~6月)は売上高が前年同期比5.0%減の6億24百万円、営業利益が28.0%減の22百万円、経常利益が52.1%減の30百万円、親会社株主帰属四半期純利益が53.1%減の29百万円だった。メタバースなどVR・AR・MR技術を包括するXR領域への先行投資の影響などで減益だったが、営業利益は概ね計画水準だったとしている。

 コンテンツ事業は売上高が6.5%減の63百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が41.1%増の10百万円だった。デジタル絵本アプリでの新作配信および知育アプリ「はじめてのきせかえ」のリニューアルなどの施策を推進したが、XR領域で活躍するクリエイター育成に関する取り組み(所属クリエイターおよび「CREPOS」に登録する約1万人のクリエイター向けにVR・ARクリエイターを目指すオンラインスクール「NEWVIEW SCHOOL ONLINE」を提供)など先行投資の影響で減益だった。

 コンテンツクリエイターサービス事業は売上高が4.9%減の5億61百万円、セグメント利益が8.3%増の79百万円だった。エンジニア数の減少で減収だが、稼働率が比較的高い水準で推移して増益だった。

 通期予想は据え置いている。第1四半期の進捗率は売上高が21.1%、営業利益が12.9%と低水準だが、重点施策として、コンテンツ事業ではユーザー獲得や継続率向上のための既存コンテンツのブラッシュアップとプロモーション強化、育児をするママパパをターゲットとしたベビーテックサービスの提供を推進する。コンテンツクリエイターサービス事業では、RPA、メタバース(VR/AR)、データサイエンス、ゲーム等の専門領域に特化したエンジニアの育成を推進する。第1四半期は減益だったが、通期ベースでは積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価はモミ合い煮詰まり感

 株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う展開だが煮詰まり感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。9月22日の終値は139円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円72銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS40円65銭で算出)は約3.4倍、そして時価総額は約25億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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