ティムコは23年11月期2Q累計大幅増益、通期上振れの可能性

(決算速報)
 ティムコ<7501>(東証スタンダード)は7月12日の取引時間終了後に23年11月期第2四半期累計業績(非連結)を発表した。フィッシング事業はやや苦戦したが、アウトドア事業の大幅伸長が牽引して大幅増益だった。そして通期の大幅営業・経常増益予想を据え置いた。需要回復、価格改定効果、第2四半期累計の高進捗率などを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は急伸してモミ合いから上放れの形となった。収益改善基調に加えて、1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■23年11月期2Q累計大幅増益、アウトドア事業が牽引

 23年11月期第2四半期累計(12月~5月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比7.4%増の18億14百万円、営業利益が82.4%増の1億25百万円、経常利益が64.9%増の1億24百万円、四半期純利益が44.9%増の98百万円だった。

 フィッシング事業はやや苦戦したが、アウトドア事業の大幅伸長が牽引して大幅増益だった。なお22年12月からフライ関連製品、ルアー関連製品、Foxfire関連製品(一部製品は23年2月から)の価格改定を実施している。新製品販売比率は65.7%、自社企画品販売比率は92.6%だった。

 フィッシング事業は売上高が3.5%減の5億29百万円で営業利益(全社費用等調整前)が3.6%増の98百万円だった。コロナ禍において3密を避けられるアクティビティとしての需要が一段落したため、売上面が全体として低調だった。ただし利益面は、新製品投入や価格改定効果などで小幅ながら増益だった。

 アウトドア事業は売上高が12.8%増の12億74百万円で営業利益が85.5%増の1億17百万円だった。百貨店やショッピングセンターなど商業施設への客足が回復し、冬季の気温低下も背景に防寒衣料や透湿防水素材(ゴアテックス)を使用した軽量ジャケットを中心に販売が好調だった。また、Foxfire会員制度の本格稼働により、自社通販が17.1%増収と伸長した。利益面では増収効果に加えて、滞留商品の値引き販売の減少も寄与した。

 その他(主に不動産賃貸収入売上)は売上高が0.4%減の10百万円で営業利益が1.8%減の5百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億94百万円で営業利益が10百万円、第2四半期は売上高が10億20百万円で営業利益が1億15百万円だった。

 通期業績(非連結)予想は据え置いて売上高が22年11月期比6.1%増の34億90百万円、営業利益が31.8%増の1億49百万円、経常利益が26.7%増の1億51百万円、当期純利益が2.1%増の1億28百万円としている。なお、コーポレートガバナンス・コードに基づく政策保有株式の縮減および見直し、並びに財務体質の強化を目的に、第3四半期に投資有価証券売却益(約17百万円見込み)を計上予定だが、業績予想には織り込んでいない。配当予想は22年11月期と同額の12円(期末一括)としている。

 重点施策として、フィッシング事業ではキャンプ地など他のアウトドア・アクテビティとの融合により釣り人口の拡大を促すとともに、新製品投入やSNSプロモーションを活用した販売促進を強化して収益力向上を図る。アウトドア事業では、自社アウトドア衣料ブランド「フォックスファイヤー」の認知度向上と顧客数の増加を目指し、商品開発力の強化、直営店舗の事業効率化、SNSプロモーションの強化、Foxfire会員制度の本格稼働、セール品の縮小などにより収益力向上を図る。さらに、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携を強化して、総合力の向上を推進する方針だ。

 先行きの不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第2四半期累計の進捗率は売上高が52.0%、営業利益が83.9%、経常利益が82.1%、当期純利益が76.6%と高水準である。需要回復、価格改定効果、第2四半期累計の高進捗率などを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は急伸してモミ合いから上放れの形となった。収益改善基調に加えて、1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。7月12日の終値は795円、今期予想PER(会社予想のEPS51円94銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約1.5%、前期実績PBR(前期実績のBPS1856円56銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約27億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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