生化学工業は24年3月期1Q大幅増収増益、通期減収減益予想据え置きだが上振れの可能性

(決算速報)
 生化学工業<4548>(東証プライム)は8月4日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。ロイヤリティーの増加、中国向けアルツや国内医薬品の販売数量増加などで大幅増収増益だった。通期減収減益予想は据え置いた。海外製品出荷時期の影響、医薬品原体・医薬品受託製造およびLAL事業の前期の反動、燃料費高騰、増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお第1四半期の各利益は通期予想を超過達成したが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は7月の安値圏から切り返しの動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■24年3月期1Q大幅増収増益、通期減収減益予想だが上振れの可能性

 24年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比16.3%増の96億61百万円、営業利益が15.3%増の12億98百万円、経常利益が14.3%増の19億59百万円、親会社株主帰属四半期純利益が26.4%増の18億87百万円だった。

 米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連の特需収束がマイナス要因だったが、ロイヤリティーの増加、中国向けアルツや国内医薬品の販売数量増加などにより大幅増収増益だった。なお研究開発費は3.0%増の17億38百万円だった。

 医薬品事業は売上高が30.7%増の71億72百万円、営業利益が4.3倍の9億71百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が11.7%増の33億12百万円、海外医薬品が30.0%増の23億24百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が14.0%増の8億35百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が出荷数量増加で増収だった。海外医薬品は、米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果により増収、中国向けアルツが前年同期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が11.7%減の24億88百万円、営業利益が63.6%減の3億27百万円だった。国内販売は前年同期並みだったが、海外子会社ACC社において新型コロナウイルス感染症関連の特需が収束した。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。

 売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。

 なお第1四半期の各利益は通期予想を超過達成したが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。また第2四半期以降の想定為替レートは1米ドル=130円としている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は切り返しの動き

 株価は7月の安値圏から切り返しの動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。8月4日の終値は760円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約432億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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