クレスコは24年3月期1Q営業減益、経常・最終増益、通期増収増益予想を据え置き

(決算速報)
 クレスコ<4674>(東証プライム)は8月4日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。受注が好調に推移して増収だが、営業利益は人件費や教育費の増加、複数の不採算プロジェクト発生により減益だった。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益はデリバティブ評価損益の改善により増益だった。通期の増収増益予想は据え置いた。不採算プロジェクトに関する損失引当が第1四半期に完了しており、第2四半期以降は不採算プロジェクトの早期収束や他の案件でのリカバリーを目指すとしている。需要は高水準であり、積極的な事業展開により通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は6月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だ。目先的には第1四半期営業減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。

■24年3月期1Q営業減益、経常・最終増益、通期増収増益予想据え置き

 24年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比4.4%増の118億81百万円、営業利益が47.3%減の4億70百万円、経常利益が47.4%増の8億30百万円、親会社株主帰属四半期純利益が89.0%増の6億06百万円だった。

 受注が好調に推移して増収だが、営業利益は人件費や教育費の増加、複数の不採算プロジェクト発生により減益だった。不採算プロジェクト発生に伴って他の案件受注を控えるという機会損失も影響した。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益はデリバティブ評価損益が7億66百万円改善(前年同期は評価損4億84百万円計上、当期は評価益2億82百万円計上)したことにより増益だった。

 ITサービス事業は、売上高が3.7%増の112億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が31.3%減の8億97百万円だった。

 このうちエンタープライズ区分は、売上高が7.9%増の45億20百万円、利益が61.4%減の1億74百万円だった。情報・通信・広告分野において一部の連結子会社の売上が大幅伸長するなど受注が好調に推移したが、不採算プロジェクト3件(人材紹介・人材派遣分野で1件、流通サービス分野で2件)の発生により減益だった。

 金融区分は、売上高が4.3%減の34億95百万円、利益が31.2%減の2億86百万円だった。売上面では保険およびその他分野における大型案件の収束が影響し、利益面では不採算プロジェクト1件(銀行分野で1件)の発生も影響した。

 製造区分は売上高が7.7%増の32億48百万円、利益が0.4%減の4億36百万円だった。日本ソフトウェアデザイン(23年2月1日付で子会社化)の連結効果などで増収だが、人件費、教育費、のれん償却費などの増加により減益だった。

 デジタルソリューション事業は、売上高が19.1%増の6億17百万円、利益が2.4倍の28百万円だった。主力のクラウドサービス「Creage」やRPAライセンスの販売が増加した。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比8.5%増の525億円、営業利益が5.0%増の52億50百万円、経常利益が4.6%増の53億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が7.6%増の35億82百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。記念配当4円を落とすため普通配当ベースでは4円増配となる。

 教育研修プログラムの実施・強化、給与水準の引き上げ、過去最大規模の新卒社員採用など、人材投資の増加で上期は営業減益(前年同期比7.4%減の20億80百万円)の計画だが、通期ベースでは受注が高水準に推移して費用増加を吸収する見込みとしている。第1四半期は営業減益だったが、不採算プロジェクトに関する損失引当が第1四半期に完了しており、第2四半期以降は不採算プロジェクトの早期収束や他の案件でのリカバリーを目指すとしている。需要は高水準であり、積極的な事業展開により通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は6月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だ。目先的には第1四半期営業減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。8月4日の終値は2001円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS172円50銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1160円39銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約460億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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