Jトラストは22年12月期実質大幅営業増益・大幅増配予想

(決算速報)
 Jトラスト<8508>(東2、新市場区分スタンダード)は2月14日に21年12月期連結業績を発表した。各金融事業が順調に推移し、投資事業利益なども寄与して営業利益が大幅黒字に転換した。22年12月期は、表面上は営業減益予想の形だが、前期の投資事業利益や一過性要因を除いたベース営業利益に対しては実質大幅営業増益予想としている。営業黒字拡大に合わせて配当も大幅増配予想としている。収益拡大基調を期待したい。なおエイチ・エス証券の全株式を取得(22年4月1日付予定)して子会社化する。株価は地合い悪化の影響で上値を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■22年12月期は実質大幅営業増益・大幅増配予想

 21年12月期連結業績(IFRS)は、営業収益が20年12月期比7.5%増の423億25百万円、営業利益が52億60百万円(20年12月期は24億03百万円の赤字)、税引前利益が58億99百万円(同6億19百万円の赤字)、親会社の所有者に帰属する当期利益が11億23百万円(同53億42百万円の赤字)だった。配当は20年12月期比1円増配の1円(期末一括)とした。

 Nexus Bank株式の売却益が計画を下回り、Nexus Bank株式評価損計上した影響で、税引前利益と親会社の所有者に帰属する当期利益が計画を下回ったが、営業収益と営業利益は概ね計画水準で着地した。前期比では、韓国およびモンゴル金融事業と投資事業の損益が大幅に改善し、大幅営業黒字に転換した。

 セグメント別の営業利益は、日本金融事業がパルティール債権回収における貸倒引当金繰入額増加などで5.6%減の45億88百万円、韓国およびモンゴル金融事業が貸出資産増加に伴う利息収益増加などで58.9%増の32億08百万円、東南アジア金融事業がコロナ禍に伴う貸倒引当金繰入額増加やのれん減損損失などで63億72百万円の赤字(20年12月期は55億41百万円の赤字)、投資事業がシンガポール控訴裁判所における勝訴判決全額履行(受領額78億47百万円)で54億45百万円の黒字(同16億51百万円の赤字)、その他事業が4億30百万円の黒字(同3億10百万円の赤字)だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が108億67百万円で営業利益が44億円、第2四半期は営業収益が114億73百万円で営業利益が27億60百万円、第3四半期は営業収益が82億84百万円で営業利益が6億67百万円、第4四半期は営業収益が117億01百万円で営業利益が25億67百万円の赤字だった。

 22年12月期連結業績(IFRS)は、営業収益が21年12月期比68.5%増の713億24百万円、営業利益が8.3%減の48億23百万円、税引前利益が20.6%減の46億83百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が27.3%増の14億30百万円としている。

 セグメント別営業利益の計画は、日本金融事業が10億円減少の35億円、韓国およびモンゴル金融事業が31億円増加の63億円、東南アジア金融事業が赤字幅42億縮小して21億円の赤字、投資事業が68億円減少して14億円の赤字、その他が4億円減少して億円としている。日本金融事業は安定的推移、韓国およびモンゴル金融事業は利益基盤の一層強化、東南アジア金融事業は赤字縮小、投資事業は前期の勝訴判決全額履行の反動減を見込んでいる。

 表面上は営業減益予想の形だが、前期の投資事業利益や一過性要因を除いたベース営業利益(参考値で約12億円)に対しては、約36億円の実質大幅営業増益予想としている。そして配当予想は21年12月期比9円増配の10円(期末一括)としている。営業黒字拡大に合わせて大幅増配とする方針だ。なおNexus Bankについては22年3月30日付で上場廃止予定のため、同社株式評価損は一巡する見込みとしている。

 2022年12月期は重点方針として、金融事業にける安定的な収益・利益基盤の再構築を推進する。そして事業ポートフォリオ再構築に伴って新たな成長フェーズに入り、東南アジア金融事業の黒字化などで23年12月期以降の営業利益率は飛躍的に向上する見込みとしている。収益拡大基調を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化の影響で上値を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。2月16日の終値は479円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS12円54銭で算出)は約38倍、時価総額は約553億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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