TACは24年3月期1Q減益だが通期2桁営業増益予想据え置き

(決算速報)
 TAC<4319>(東証スタンダード)は8月4日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。減収減益だった。法人研修事業は堅調に推移したが、民間企業の採用意欲の高まりなどで特に学生を主な受講生層とする講座への申し込みが低調となり、出版事業における巣ごもり需要反動減も影響した。ただし通期の2桁営業増益予想は据え置いた。個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦、株価資産倍率(PBR)改善施策などに取り組む方針としている。第1四半期は減益だったが、通期ベースでは積極的な事業展開で収益回復を期待したい。株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う展開だが下値固め完了感を強めている。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRやリスキリング関連のテーマ性などを勘案すれば下値限定的だろう。

■24年3月期1Q減益だが通期2桁営業増益予想据え置き

 24年3月期第1四半期の連結業績は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比6.6%減の52億06百万円、営業利益が77.6%減の1億23百万円、経常利益が80.1%減の1億06百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が76.3%減の83百万円だった。

減収減益だった。法人研修事業は堅調に推移したが、民間企業の採用意欲の高まりなどで特に学生を主な受講生層とする講座への申し込みが低調となり、出版事業における巣ごもり需要反動減も影響した。なお同社が重視している前受金調整前の現金ベースの売上高は6.3%減の44億43百万円だった。

 個人教育事業は現金ベース売上高が8.0%減の21億44百万円で、現金ベース営業利益が7億40百万円の損失(前年同期は5億39百万円の損失)だった。法人研修事業は現金ベース売上高が2.4%増の12億25百万円で、現金ベース営業利益が0.3%増の3億17百万円だった。

 受講者数は、個人受講者が1.3%減の4万1608人、法人受講者が6.8%増の3万1438人、合計が2.0%増の7万3046人だった。分野別には財務・会計分野が9.1%減、経営・税務分野が4.9%増、金融・不動産分野が12.4%増、法律分野が10.4%増、公務員・労務分野が8.1%減、情報・国際/医療・福祉/その他分野が16.3%増だった。

 出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が14.1%減の9億22百万円、営業利益が70.1%減の71百万円だった。行動規制緩和に合わせて刊行した旅行ガイドが好調だったが、全体としては巣ごもり需要の反動減などで減収減益だった。人材事業は売上高が7.2%増の1億54百万円、営業利益が40.8%増の45百万円だった。医療系人材事業は新型コロナウイルス感染症関連業務が減少したが、会計系人材事業の広告売上や人材紹介が好調だった。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が23年3月期比0.5%減の196億20百万円、営業利益が19.1%増の3億80百万円、経常利益が1.7%増の3億30百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が2.2%減の2億10百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。予想配当性向は51.8%となる。

 個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦、株価資産倍率(PBR)改善施策などに取り組む方針としている。第1四半期は減益だったが、通期ベースでは積極的な事業展開で収益回復を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価は安値圏の小幅レンジでモミ合う展開だが下値固め完了感を強めている。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRやリスキリング関連のテーマ性などを勘案すれば下値限定的だろう。8月4日の終値は201円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円58銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS341円58銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約37億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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