凸版印刷と東京農工大、複数のロボットの行動を最適化するAI技術に関する共同研究を開始

■マルチエージェントシステムでロボットの行動を最適化

 凸版印刷<7911>(東証プライム)は10日、国立大学法人東京農工大学と複数のロボットの行動を最適化するアルゴリズムに関する共同研究を開始すると発表。

 同共同研究では、人とロボットの協働に向け、マルチエージェントシステム(※1)を活用し、複数の自律的なロボットをAIカメラ、各種センサーやスマートフォンなどのエッジデバイスと連携させ、人の行動を予測するだけでなく、様々な状況の変化にも対応させる技術を確立する。

※1:マルチエージェントシステム=AI技術のひとつで、自律動作する複数のエージェントが相互に連携・協調し、全体最適を図りながら、高度なタスクを実行させるシステム。エージェントとは、考える主体となるロボットや人を意味する。

 凸版印刷は、東京農工大との共同研究を通じ、ロボットとAIの活用を推進し、物流・小売・スマートシティなど幅広い領域において、人・ロボット・AIが協働できる社会を実現する。

■共同研究の概要

 同共同研究では、物流倉庫でのピッキング作業における、人の動きを考慮した自動搬送ロボット(AMR)の搬送経路の最適化を目的とするAI技術に関する研究開発を行う。

(1)ロボットとエッジデバイス用AIの開発
 AMRやスマートフォンなどの各システム上で動作するAIを開発する。これにより、複数のAMRやエッジデバイス間で共有した様々な情報を利用して、各AMRが自律的に環境と状況を判断し、最適なルートをリアルタイムに動作することが可能になる。

(2)ピッキング倉庫における実証
 物流倉庫におけるピッキング業務の省人化・省力化を目標に、(1)で開発したAIを活用したモデルラインを構築し、技術検証を実施する。

 また、作業者が業務開始前に(1)を用いて様々な条件でピッキング作業をシミュレートし、作業計画を策定する補助ツールとしての利便性についても検証する。

■二者の役割

・凸版印刷
 最適化アルゴリズムのAMRへの実装と、ピッキングシステムの試作を行い、実際にピッキング倉庫における評価実証に取り組む。

・東京農工大
 東京農工大・藤田桂英研究室はマルチエージェントシステム、自動交渉、大規模合意形成支援システムといった研究に取り組んでおり、人間とAIが協調する社会を推進している。同共同研究では、マルチエージェントシステムを活用し、経路最適化アルゴリズム・シミュレーターの開発を行う。

■「Erhoeht-X(エルへートクロス)」について

 「Erhoeht-X(エルヘートクロス)」とは、凸版印刷が全社をあげ、社会や企業のデジタル革新を支援するとともに、同社自体のデジタル変革を推進するコンセプト。

 「エルヘート」は、当社創業の原点である当時の最先端印刷技術「エルヘート凸版法」から名付け、語源であるドイツ語の「Erhöhen(エルホーヘン)」には「高める」という意味がある。

 凸版印刷は、これまで培ってきた印刷テクノロジーの更なる進化とともに、先進のデジタルテクノロジーと高度なオペレーションノウハウを掛け合わせ、データ活用を機軸としたハイブリッドなDX事業を展開し、社会の持続可能な未来に向けて貢献していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る