東レはタイ・バンコクの子会社に12億円の増資、非可食バイオマスからの繊維・樹脂・フィルム原料供給に向けて本格始動

■タイで非可食糖製造能力を拡充し、再生資源化を加速

 東レ<3402>(東証プライム)は22日、2017年1月に東レとDM三井製糖ホールディングス<2109>(東証プライム)のDM三井製糖が膜利用糖化プロセスの技術実証を行う目的で設立した、Cellulosic Biomass Technology Co., Ltd.(本社:タイ王国バンコク市、「CBT社」)に対して、東レが12億円の増資を引き受け、出資比率を67%から84.4%に引き上げたと発表。東レは今回の増資により、食糧問題の回避やカーボンフットプリント低減を可能とする非可食糖の製造技術を基軸とした、非可食バイオマス由来の基幹ポリマー原料の早期事業化を目指していく。

 今回の増資を契機に、既存のバガスを原料とした非可食糖を製造する設備に加えて、キャッサバパルプを原料とした非可食糖の製造設備を新たにCBT社に導入し、キャッサバパルプ由来の非可食糖の製造能力を5t/日に拡充する。また、バイオマス燃料が利用可能なボイラーの導入や、排水処理の能力増強を行い、非可食糖製造における用役費のコストダウンを図っていく。

 同技術によって製造される非可食糖は、これを用いて化学品製造する際の微生物発酵への適用可能な品質、また、保存や輸送時の安定性を確認している。今後、CBT社で製造する非可食糖を、東レグループにおける各種化学品原料の非可食原料化に向けて、アジピン酸等の自社での原料開発に加えて、すでに可食糖から化学品を製造している化学企業への非可食糖の有償提供を行い、バイオマス原料化を進める企業とのビジネス連携を進める。また、高付加価値品のポリフェノール類についても、国内外企業と連携して市場展開を進める。

 さらに、2030年までに10万t/年規模の非可食糖製造技術を確立し、非可食糖を原料としたポリマー原料のサプライチェーン構築により、サーキュラーエコノミー社会の進展に貢献していくとしている。

 非可食糖の技術確立においては、NEDO国際実証事業(2016~2022年度)の支援を受けて、DM三井製糖と共同で実施した。また、NEDO事業終了後は実証設備をCBT社が買取り、事業化を進めている。

【CBT社の概要】

1.会社名:Cellulosic Biomass Technology Co., Ltd.
2.所在地:本社 タイ王国バンコク市、事業所 タイ王国ウドンタニ県
3.設立時期:2017年1月
4.資本金:6億バーツ
5.出資額(増資後)
  :東レグループ5億600万バーツ(出資比率84.4%)
  :三井製糖9,400万バーツ(出資比率15.6%)
6.事業内容:膜利用糖化プロセスの技術開発および関連製品の事業化検討
7.生産能力(増資後):バガス由来非可食糖3t/日、キャッサバ由来非可食糖5t/日
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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