エスプールは23年11月期営業減益、24年11月期は営業増益予想

(決算速報)
 エスプール<2471>(東証プライム)は1月12日の取引時間終了後に23年11月期連結業績(日本基準)を発表した。減収・営業減益だった。売上面ではビジネスソリューション事業は順調だったが、人材ソリューション事業が低調だった。利益面では事業拡大に向けた先行投資に加えて、採用費・人件費・家賃の増加なども影響した。24年11月期(IFRS任意適用のため前期比増減率は非記載)は23年11月期との単純比較で増収、営業増益、最終減益の見込みとしている。増収増益への転換を図りながら、新たな成長に向けた基盤整備にも注力する方針だ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は23年10月の安値圏から切り返して底打ち感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■23年11月期営業減益、24年11月期は営業増益(下期偏重)予想

 23年11月期連結業績は売上高が22年11月期比3.3%減の257億84百万円、営業利益が15.4%減の26億16百万円、経常利益が13.9%減の26億84百万円だった。減収、営業・経常減益だった。売上面では、ビジネスソリューション事業は順調だったが、人材ソリューション事業が低調だった。利益面では事業拡大に向けた先行投資に加えて、採用費・人件費・家賃の増加なども影響した。親会社株主帰属当期純利益は特別損失や法人税等の減少により12.0%増の20億26百万円だった。配当は22年11月期比2円増配の10円(期末一括)とした。配当性向は39.0%となる。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が23.1%増の125億55百万円、営業利益が2.0%増の29億81百万円だった。

 障がい者雇用支援サービスの売上高は19.8%増の69億04百万円だった。設備販売は計画1440区画に対して1446区画(22年11月期比130区画増)と順調だった。期末時点の顧客数は606社(新規43社、解約3社)で、管理区画数は7549区画、就労者数は3774名(定着率92%)となった。

 ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は9.6%増の14億70百万円(内訳はEC通販発送代行が10.5%増の13億46百万円、物流センター運営が0.9%増の1億24百万円)だった。利益面は新センター(千葉県流山市)開設に伴う一時的費用の発生などにより減益だった。

 広域行政BPOサービスの売上高は52.7%増の13億89百万円だった。取引自治体数が順調に増加して大幅増収だが、利益面は新センターの稼働率が計画を下回り、収益化が遅れた。BPOセンターは開設10センター、閉鎖1センターで、累計20センター(うちスマートカウンター併設15センター)となった。

 環境経営支援サービスの売上高は30.7%増の9億49百万円(コンサルティングサービスの売上比率が9割超)だった。コンサルティングサービスの拡大により、売上高・利益とも大幅に伸長した。事業拡大に合わせてコンサルタントを中心に積極採用を行い、人員は前期から倍増の74名となった。

 採用支援サービス(OMUSUBI)の売上高は18.5%増の7億16百万円だった。応募受付数は8.4%増の67万5192件だった。サービス業を中心に需要が拡大し、センター稼働率上昇により利益率も改善した。

 人材ソリューション事業は、売上高が19.7%減の133億10百万円で、営業利益が24.7%減の12億57百万円だった。主力のコールセンター業務の売上高は23.3%減の110億93百万円だった。前期の新型コロナ関連案件の反動で大幅減収だった。販売支援の売上高は15.1%増の14億40百万円だった。インバウンド関連を中心に回復傾向となった。

 四半期別にみると、第1四半期は売上高が60億89百万円で営業利益が4億52百万円、第2四半期は売上高が70億43百万円で営業利益が10億40百万円、第3四半期は売上高が62億19百万円で営業利益が5億63百万円、第4四半期は売上高が64億31百万円で営業利益が5億59百万円だった。第2四半期の営業利益は四半期ベースで過去最高だった。

 24年11月期の連結業績予想(IFRS任意適用のため前期比増減率は非記載)は、売上収益が270億60百万円、営業利益が27億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が18億29百万円としている。23年11月期との単純比較で売上高は4.9%増収、営業利益は5.1%増益、親会社株主帰属当期純利益は9.7%減益の形となる。配当予想は22年11月期と同額の10円(期末一括)としている。予想配当性向は43.2%となる。

 なお半期別に見ると、上期は売上収益124億87百万円、営業利益5億42百万円、下期は売上収益145億72百万円、営業利益22億07百万円で、下期偏重の計画としている。ビジネスソリューション事業の広域行政BPOサービス、および人材ソリューション事業のコールセンター業務について、下期からの需要回復・収益改善を計画している。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が19.7%増の150億23百万円、営業利益が17.3%増の34億97百万円としている。売上高の内訳は障がい者雇用支援サービスが15.9%増の80億円(運営管理費が27.8%増の49億92百万円、設備販売が5.2%増の24億60百万円、人材紹介料が16.5%減の5億47百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.6%増の16億26百万円、広域行政BPOサービスが7.6%増の14億95百万円、環境経営支援サービスが50.6%増の14億30百万円、採用支援サービス(OMUSUBI)が11.7%増の8億円としている。

 障がい者雇用支援サービスは新規開設が8農園(屋外4、屋内4)で、設備販売は1450区画(第1四半期175~225区画、第2四半期430~480区画、第3四半期360~410区画、第4四半期385~435区画)の計画としている。営業面では農園サービスに対する高い需要は変わらず好調だが、より丁寧な採用・教育に取り組んでいるため販売目標は一旦抑制する方針だ。ロジスティクスアウトソーシングサービスは全センターの満床・安定稼働により収益改善を推進する。なお物流センター運営代行サービスを終了し、今後はEC通販発送代行サービスに集中する。広域行政BPOサービスはスポット業務の縮小により上期の売上高が落ち込むが、既存センターの稼働率向上に向けて営業を強化し、下期からの反転を見込んでいる。環境経営支援サービスは、企業向けの支援ノウハウを活用して自治体向けの脱炭素支援サービスの拡大を推進する。採用支援サービス(OMUSUBI)は人手不足を追い風に着実な成長を目指す。

 人材ソリューション事業は売上高が7.4%減の123億25百万円、営業利益が10.9%減の11億20百万円の計画としている。売上高の内訳はコールセンター業務が7.7%減の102億43百万円、販売支援が23.8%増の17億82百万円、その他が61.4%減の3億円の計画としている。コールセンター業務の需要回復などにより売上の底打ちを目指す方針だ。

 24年11月期は全体として増収増益への転換を図りながら、新たな成長に向けた基盤整備にも注力する方針としている。また、人材派遣サービスの成長鈍化を踏まえて現在の中期経営計画を取り下げ、2025年11月期を初年度とする新中期経営計画を策定する予定としている。新中期経営計画では事業ポートフォリオを再編し、障がい者雇用支援、サスティナビリティ支援、地方創生支援を重点事業領域とする成長戦略を打ち出す見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は底打ち

 株価は23年10月の安値圏から切り返して底打ち感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。1月12日の終値は421円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円16銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS111円78銭で算出)は約3.8倍、そして時価総額は約333億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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