【株式市場特集】「バリュー株再び脚光」大手商社・倉庫株に注目!一段高期待

■「割安・高配当で狙い目」大手商社・倉庫株の共通点

 今週の当コラムは、バリュー株として2つのセクター株に注目することとした。一つは大回り3年の大手商社株であり、もう一つは急騰相場での遅行高習性のある倉庫株である。大手商社株は、2020年8月に著名投資家のウオーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイの株式取得が明らかになったことで動意付き、昨年4月の買い増しでさらに上値を追い、海外投資家株爆買いの起点・元祖銘柄でもある。一方、倉庫株は、業績実態的にも企業活動の最終段階の在庫循環に左右され、相場循環でも相場の最終段階で動意付く特性がある。しかも「2024年問題」にも密接に関連する。2セクターは、いわば先鋒としんがり、アタマとシッポの位置取りとなるが、低PER・PBR、高配当利回りでは共通している。スタンバイから一段高を期待し「良い猫」を目指したいものである。

■大手商社株はなお著名投資家が買い意欲と伝えられ急騰相場再現余地

 大手商社の伊藤忠商事<8001>(東証プライム)、丸紅<8002>(東証プライム)、三井物産<8031>(東証プライム)、住友商事<8053>(東証プライム)、三菱商事<8058>(東証プライム)は、2020年8月提出の大量保有報告書によりバークシャー・ハサウェイがそれぞれ5%超保有することが明らかになったことがサプライズとなって動意付き、昨年4月にその保有比率が8%超と保有比率が拡大したことで上値を追い、足元でもバークシャー・ハサウェイの一部買い増し報道から上場来高値を更新する銘柄が続いた。例えば三菱商事は、2020年8月末終値から23年9月の上場来高値7732円まで3.24倍の大化けを演じ、昨年12月31日を基準日とした株式分割(1対3)の権利落ち後も前週末に落ち後高値2600円まで買い進まれて、実質的に上場来高値を更新した。

 それでも5社とも今3月期業績を上方修正して減益転換率を縮小させPERは8倍~11倍台と割安であり、今期配当を増配した丸紅、住友商事の配当利回りは3.3%、3.7%と市場平均を上回る。また自己株式取得などの還元策も続いており、来月2月2日~6日に発表を予定している今3月期第3四半期決算の動向も要注目となる。唯一「玉に瑕」は、大手商社株が資源関連株との評価が定着し、地政学リスクの懸念が強まっているにもかかわらず原油先物価格の下値波乱が続いていることだが、ツレ安場面は逆張り好機となりそうだ。

■倉庫株は業績上方修正が続き「2024年問題」では新倉庫需要も拡大

 倉庫株では、今期業績を上方修正する銘柄と下方修正する銘柄がマチマチとなっている。国際物流事業のウエートが高く、コンテナ船運賃や航空運賃の低下の影響を受け東洋埠頭<9351>(東証スタンダード)、ケイヒン<9312>(東証スタンダード)などが下方修正組となっている。一方で、経済活動正常化に伴う国内輸送需要の拡大や新規物流事業の獲得、コスト増を吸収する賃料や運賃の適正化、M&A効果などから上方修正する銘柄も多く、三菱倉庫<9301>(東証プライム)、三井倉庫ホールディングス<9302>(東証プライム)、ヤマタネ<9305>(東証プライム)、東陽倉庫<9306>(東証スタンダード)などが上方修正組となっており、上方修正とともに増配や自己株式取得の還元策を発表する銘柄も続いた。上方修正組とも下方修正組とも低PBR・PBR放置となっているのは共通している。

 また今年4月からトラックドライバーの年間残業時間が900時間に規制される「2024年問題」では、物流効率化のため荷主企業がドライバー不足に対応する上で在庫の分散化や輸送時間・距離の短縮化に向け新倉庫や門前倉庫のニーズを高めてくるとみられ、これへの対応は中期的な業績押し上げ材料として寄与してくる。YE DIGITAL<2354>(東証スタンダード)、アジアクエスト<4261>(東証グロース)、シンフォニアテクノロジー<6507>(東証プライム)、ファイズホールディングス<9325>(東証スタンダード)、関通<9326>(東証グロース)などが展開する物流DX<デジタルトランスメーション)を含めて、新カタリスト(株価材料)として浮上しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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