【どう見るこの相場】「幻の史上最高値」か?!未達銘柄もバリュー評価のサポートで全値戻しにリーチ可能性

■日経平均は史上最高値に迫るが、バブルの傷跡が残る銘柄は?

 「幻の史上最高値」に呻吟している銘柄は、数多い。日経平均株価は年初来、前週末26日まで2286円高してあのバブル相場の頂点の1989年12月29日につけた史上最高値3万8915円へあと約3100高、8%上昇すればタッチするまでに迫っている。これに比べて個々の銘柄では、当時つけた最高値が、高山の山頂のように遥か遠く雲に霞んで肉眼では捉え切れないほどで、バブル相場崩壊の残滓がなお色濃い銘柄の数々である。

 例えば日産自動車<7201>(東証プライム)がそうだ。3ナンバーの最上級仕様のセダンの大ブレークによる「シーマ現象」により1989年6月1日に上場来高値1700円まで買い進まれたが、足元の株価は564.5円である。また三菱製鋼<5632>(東証プライム)は、含み資産関連の人気先駆株として「ウォーターフロント開発」の鳴り物入りで1988年11月9日に3520円の最高値をつけたが、足元の株価は、1592円でしかない。さらに京橋関連株人気を発端に大量買い占めが刑事事件までなった仕手株相場の悪乗りで1990年6月21日に5000円をつけたジャノメ<6445>(東証プライム)の現在地は、697円である。

 3銘柄とも、一時の低迷を脱し投資バリュー的には低PER・PBRで配当利回りが2%~3%となる有配株であることは救いだが、史上最高値の全値戻しまでは、なおコツコツ、コツコツと戻りを試して行くことが不可避である。仮に当時の高値で買い持ちしている投資家がいるとしたら、さらに塩漬けの延長を覚悟せざるを得ない。

■東京建物が「幻の最高値」にリーチ:再開発事業で成長戦略を推進

 「幻の最高値」銘柄は、ほとんどがローテク株、景気循環株、ディフェンシブ株などで占められている。半導体関連のハイテク株や指数寄与度の高い値がさ株が、上場来高値を更新中でほぼ一人勝ちになっているのとは対照的である。ただそのなかでも、当時の最高値にリーチ可能な高値水準までリバウンドしてきた銘柄もある。その顕著なサンプルの一つは、東京建物<8804>(東証プライム)である。1989年11月14日につけた最高値24830円に対して前週末26日の株価は、2212.5円とあと約220円と迫っている。目下集計中の前12月期業績は、上方修正されて低PERで、PBRは1倍割れ、配当は10期連続の増配を予定し、ビル事業の賃貸面積は、2030年頃には八重洲プロジェクトなどの相次ぐ再開発事業で現在の3割増とする成長戦略も推進中である。最高値を更新しさらに出遅れている大手不動産株追撃も想定される。

 東京建物と同様に「幻の最高値」が、バリュー評価で全値戻しへのリーチの可能性を示唆する銘柄も少なくない。相場全般は、先行した半導体株が、SOX指数の続落やインテルの伸び悩み業績などが響いてスピード調整入りも懸念されており、代わってグロース株よりバリュー株が選好される相場展開になるようなら出番が回ってくることも想定される。まして日経平均株価が、今年のどこかで史上最高値にタッチするのを前提とするなら、全上場銘柄の一段のかさ上げは必至となりフォローとなるはずである。

 そこで今週の当コラムでは、史上最高値をリ-チ圏内に捉えたバリュー株をスクリーニングした。足元の株価からあと20%から30%上昇すれば最高値奪回可能な低PER・PBR株が浮上したが、中型株、小型株、値ごろ、業種、所属市場も多彩となった。次の最高値更新の有力予備軍として要注目となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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