【どう見るこの相場】マネー効果で「持ちこたえている」WTI関連株にはなお浮動余地

どう見るこの相場

 最近は「持ちこたえている」というコメントを聞かなくなった。厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の先生からの感染状況の評価に関してである。テレビでこのコメントに耳にしたのは、今年3月19日頃が最後だった個人的に記憶している。これが正しければ、この時点の国内感染者数は950名、死亡者は33名で、それが4月24日は同じく1万2388名、317名と1カ月強でそれぞれ13倍、9.6倍と急増したのだから当然だろう。

 この楽観コメントが、その後の3月の3連休中の花見や行楽地、公園の人出を止められない警戒感の緩みにつながって感染者急増の要因となったのか、それとももともと感染者は多数にのぼっており、当初、検査件数が少なかったPCR検査が増加するにつれて、陽性患者の確認が進んできたのに過ぎないのか、ぜひともコメントした専門家会議の先生からのご説明をお願いしたいものである。

 これと対照的にいまだに「持ちこたえている」というコメントに違和感がないのが、株価である。日経平均株価は、3月19日に前日のニューヨーク・ダウ工業株30種平均(NYダウ)がクラッシュして2万ドルを割ったことに直撃されて1万6358円と3年4カ月ぶりの安値に突っ込んだ。ところが同安値から一時は1万9922円と2万円大台目前まで迫り、足元の前週末24日も、反落したものの1万9262円と25日移動平均線を上回っている。

 これはもちろん、米国株のように感染拡大のピークを過ぎたとして経済活動再開を先取りしたためではない。国内では、むしろ今週週初からスタートする大型連休によるオーバーシュート(爆発的患者急増)への警戒感を強めている。「持ちこたえている」のは、パンデミックで世界中の需要が瞬間蒸発した実体経済の急悪化と株価の間にマネーが介在し、マーケットが「火中の栗を拾う」ように逆張りした銘柄が、第1波、第2波、第3波などと取っ替え引っ替えローテーションよろしく循環物色され下支えした効果が大きい。

 東京市場でも、セクター別に当初のマスク、防護服、除菌剤の防疫関連株買いから巣ごもり消費関連株、テレワーク関連株、オンライン診療株、人工呼吸器・人工心肺装置株、ワクチン・治療株開発株などへ広がって急伸してその後も人気をキープし、そこに米国株の反発に連動して値がさ株や半導体関連のハイテク株の買い戻しも混交して相場全般の「持ちこたえ」に少なからず寄与している。

 今週は、大型連休入りしこの間に日米欧の各中央銀行の金融政策決定会合を控え、連休中の5月6日には「緊急事態宣言」の終了期限を迎える。連休中にオーバーシュートが起こるのか、医療崩壊は深刻化するのか、「宣言」は解除されるのか延期されるのか、欧米並みに「ロックダウン(都市封鎖)」が導入されるのか、新型コロナウイルス感染症の動向をどう読むか、連休中の各中央銀行の金融政策や海外株価をウオッチしなければならず、「持ちこたえる」のか「持ちこたえられない」のか難しい投資判断になる。

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