【注目銘柄】リンコーコーポは小反落も配当・優待権利取りをホテル・新航路が支援して高値頑強

 リンコーコーポレーション<9355>(東証スタンダード)は、前日8日に3円安の1833円と小反落して引けた。日経平均株価は、743円高と3日ぶりに急反発したが、東証グロース市場指数が、1.10ポイント安の1228.4と3日続落したことから、今年1月4日に昨年来高値1849円まで買われていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ1800円台では下値抵抗力も示しており、昨年11月に今2024年3月期業績を下方修正したものの、株主優遇制度の拡充、ホテル事業の黒字転換、新内航コンテナサービスの開始などの好材料が相次いでいることを手掛かりに配当・優遇策の権利取りの下値買いも交錯している。テクニカル的にも、足元で25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、フォローの材料視されている。

■新内航コンテナサービスはCO2削減、「2024年問題」解消に寄与

 同社の株主優遇策は、昨年8月の今2024年3月期第1四半期(2023年4月~6月期、1Q)決算発表時に拡充された。従来は、1株以上保有する株主に同社のANAクラウンプラザホテル新潟の宿泊優待券(宿泊代20%オフ)と飲食優待券(飲食代10%オフ)を贈呈したが、変更した優遇策は、100株~199株を保有する株主に同ホテルの宿泊セット(インペリアルスイートルームペア1泊2食付き)を抽選で5名に贈呈するほか、JCBギフトカード1000円分を贈呈することに拡充する。この同社のホテル事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で赤字継続となっていたが、同感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことで、今期1Qに黒字転換した。

 一方、新内航コンテナサービスは、昨年12月8日から新潟港から門司港、博多港の間で開始しており、国内トラック輸送の代替交通手段として物流業界のCO2(二酸化炭素)削減のほか、モーダルシフトとしてトラックドライバーの年間残業時間が900時間に規制されトラックドライバー不足が懸念される「2024年問題」の解消などにも大きく寄与する。なお今2024年3月期業績は、主要貨物の素材原料の需要伸び悩みや一般貨物の取扱量減少で下方修正され、売り上げ130億円(前期比3.3%減)、営業利益1億5000万円(同28.2%減)、経常利益2億5000万円(同41.6%減)、純利益3億円(同56.1%減)と見込んでいる。ただ今期配当は、前期業績の上方修正時に年間30円(前々期実績10円)に増配したが、今期はこの30円配当を継続予定である。

■GC示現で上昇トレンド転換を鮮明化し昨年来高値抜けから2022年3月高値目指す

 株価は、今期1Qのホテル事業の黒字転換、株主優遇策拡充で1821円高値をつけ、その後は1600円~1800円台での往来相場が続いたが、新内航コンテナ船サービス開始で昨年来高値1849円まで買い進まれ、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を鮮明化させた。足元では1800円台固めを続けているが、期末に向けた配当・優待制度の権利取りも加わりまず昨年来高値抜けから2022年3月高値1988円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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