
■ハメネイ師死亡・ホルムズ封鎖が引き金、荒れ相場の幕開け
米国とイスラエルは2月28日、イランへの大規模軍事作戦を開始し、トランプ米大統領はハメネイ師の死亡を発表。イラン国営メディアも3月1日に確認し、革命防衛隊司令官ら幹部の死亡も伝えた。これに対しイランはミサイルや無人機で反撃を開始し、周辺の米軍関連施設などを攻撃。指導部は徹底抗戦の構えを示している。
さらにイラン革命防衛隊は船舶向け無線でホルムズ海峡の全船舶通過禁止を示唆し、世界の石油輸送の2割が通過する同海峡は事実上の封鎖状態に陥っている。日本郵船<9101>(東証プライム)や川崎汽船<9107>(東証プライム)など国内大手海運会社も通峡を停止しており、原油価格の高騰に伴いガソリン価格や物流コストが上昇し、日本でもインフレが加速する恐れがある。
こうした事態を受け、3月2日の東京株式市場では日経平均株価が終値で前日比793円安となり、朝方には一時1500円を超える下げとなった。相場格言「遠い戦争は買い」が機能するか否か、月初から荒れた展開となっている。
■トランプ変容、「ディール」から「力」へのシフトが不安定要因
前月2月相場の波乱の震源地もトランプ米大統領であった。連邦最高裁が相互関税に違憲判決を下したことで代替関税が急発動され、下落の引き金となった。しかし東京市場では代替関税の影響が限定的との観測が強まり、好業績銘柄への買いが重なって日経平均株価は史上最高値を更新し、一転して上に荒れた。
3月相場でその再現を期待できるかが焦点となるが、トランプ氏は「イラン国民に自らの国を取り戻す最大の好機だ」と蜂起を呼び掛ける一方、軍事作戦は「中断することなく続く」と強調した。同大統領の政策手法は「ディール(取引)」から「力による平和」を掲げた実力行使へと変容しつつあるとの指摘が強まっている。一般教書演説での民主党攻撃など、その一挙手一投足は引き続きマーケットの不安定要因となりそうだ。
■ホルムズ封鎖が日本経済を直撃、スタグフレーションリスクも
エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖され、高騰した原油・ガス価格が世界経済の下押しリスクとなっている。衝突が長期化すれば、高インフレと低成長が同時に進行する「スタグフレーション」が現実味を帯びる。
日本は原油の中東依存度が約94%に達し、ホルムズ海峡を経由した原油輸入量は9割にのぼる。中長期的には原油価格の高騰が円安基調と相まって国内の燃料価格を大きく押し上げる可能性が高い。もっとも、日本は約250日分の原油を備蓄しており、海峡の封鎖状態が1カ月程度続いたとしても、日常生活や経済活動そのものが直ちに停止する事態は想定しにくいとの見方もある。
■株式分割61社が急増、流動性向上と投資家層拡大に期待
リスクオフとリスクオンが交錯するなか、独自の注目材料として浮上しているのが3月期末の株式分割銘柄である。3月27日を権利付き最終売買日とする分割銘柄は前週末時点で61社に達し、2月末基準の7社から12倍超に急増した。分割比率も大きく、1対4や1対5が目立ち、フジクラ<5803>(東証プライム)は1対6を予定する。背景には東証が求める「望ましい投資単位50万円未満」への対応があり、その後の株高で値がさ化が進んだことが分割ラッシュに拍車をかけている。
■分割銘柄に的を絞り、有望株を選別する戦略も一考
株式分割は理論上はニュートラルであるが、投資単位引き下げによる流動性向上と投資家層拡大という実質的効果が期待される。SCREENホールディングス<7735>(東証プライム)は昨年の分割後に権利落ち分を埋め、上場来高値2万3870円まで上昇した実績を持つ。今回の61銘柄にも同様の再現期待が広がる可能性がある。
3月相場は日銀金融政策決定会合(18・19日)、日米首脳会談(19日)、月末の米中首脳会談と重要イベントが続く。イラン情勢の行方次第では大波乱も想定される。そうした局面だからこそ、独自材料で下値抵抗力を発揮し得る株式分割銘柄に的を絞り、有望株を選別して権利取りを狙う戦略は十分に検討に値する。なお、3月2日の市場では鉱業、非鉄金属、海運業が上昇するなど、中東有事の恩恵を受けるセクターへの選別買いも見られた点は注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























