クレスコは上値試す、24年3月期増益予想、25年3月期は配当性向引き上げ

 クレスコ<4674>(東証プライム)は独立系のシステムインテグレータで、ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力としている。成長戦略として顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。24年2月にはジェット・テクノロジーズを子会社化(株式譲渡日4月1日予定)すると発表した。24年3月期は増益予想としている。第3四半期累計は減益だったが、第4四半期の構成比が高い季節要因に加えて、不採算プロジェクトに関する受注損失引当が完了し、通期は他の案件でのリカバリーを目指すとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。なお配当性向を現在の30%から40%に引き上げて25年3月期中間配当より実施する。株価は反発して戻り高値圏だ。配当性向引き上げも評価材料であり上値を試す展開を期待したい。

■ITサービスを主力としてデジタルソリューションも強化

 独立系のシステムインテグレータで、ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力としている。さらに成長戦略として顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。

 セグメント区分は、ITサービス(エンタープライズ、金融、製造の各分野のコンサルティング・開発・保守の総合サービス)と、デジタルソリューション(自社製品Creage、インテリジェントフォルダなど、顧客のDXを実現する製品・サービスからなるソリューション群)としている。

 23年3月期のセグメント別業績は、ITサービス事業の売上高が22年3月期比7.7%増の456億12百万円で営業利益(全社費用等調整前)が11.1%増の63億54百万円(内訳は、エンタープライズの売上高が3.4%増の188億39百万円で利益が5.3%増の23億74百万円、金融の売上高が3.1%増の141億15百万円で利益が5.9%増の18億20百万円、製造の売上高が21.3%増の126億57百万円で利益が23.8%増の21億59百万円)、デジタルソリューション事業の売上高が30.7%増の27億55百万円で利益が14.3%増の1億65百万円だった。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。なお24年1月には子会社のクレスコ・デジタルテクノロジーズが経済産業省から「DX認定事業者」に認定された。また2月14日には情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格ISO/IEC27001:2022の認証を全社で取得したと発表している。

■M&A・子会社再編

 M&A・アライアンスおよびグループ子会社再編では、20年2月に北海道大学公認AIベンチャーの調和技研と資本業務提携、20年4月にシステムインテグレータのエニシアスを子会社化、21年7月に組込型ソフトウェア開発に強みを持つOECを子会社化、22年5月に子会社クリエイティブジャパンの商号をクレスコ・デジタルテクノロジーズに変更、22年7月に子会社のアルスが同じく子会社のエヌシステムおよびネクサスを吸収合併して商号をクレスコ・ジェイキューブに変更、23年2月に日本ソフトウェアデザイン(大阪市)の全株式を取得して子会社化した。

 23年3月には、フォーラムエンジニアリング<7088>およびインドのSRM Globalとの3社共同で、フォーラムエンジニアリングのインド現地法人コフナビインディア社(22年10月設立)が行う第三者割当増資を引き受けて資本出資した。フォーラムエンジニアリングのエンジニアに特化した人材サービス「コグナビ」のインドでの展開を加速する。そして23年6月には、コグナビインディア社がインド初のAIテクノロジーマッチング機能を搭載したインド新卒学生向けジョブポータルサイト「コグナビ」をオープンした。

 23年9月には飲食業界のDX推進支援の拡大に向けて、ベトナムのレストラン&リテールテックスタートアップ企業CAPICHI社へ出資し、業務提携した。23年12月には、セキュリティ脆弱性診断サービスやSOC(セキュリティオペレーションセンター)構築・運用など情報セキュリティサービスを展開するセキュアイノベーションと資本業務提携した。

 24年1月には同社、完全子会社である日本ソフトウェアデザインおよびメクゼスの3社間で、組織再編に向けた方針に合意した。3社のノウハウおよびリソースを地域別に整理・統合して人財・経営資源を有効活用し、生産性向上や効率的なサービスの提供により、グループの競争力の維持・向上を図る方針だ。

 24年2月には、システムコンサルティングやインフラ設計構築・運用などを展開するジェット・テクノロジーズを子会社化(株式譲渡日4月1日予定)すると発表した。

■働き方改革や健康経営を推進

 中期経営計画では24年3月期の目標値として売上高500億円、営業利益50億円、ROE15%以上を掲げている。新たなビジネスの柱を生み出すための重点戦略としてデジタルソリューションの強化、機動的経営の進化、人間中心経営の深化、コアビジネス領域をより強固なものにするための基本戦略としてITサービスの拡大、品質の強化、技術の強化を推進している。なお22年4月から第2創業期として会社ロゴを変更した。

 健康経営関連では、21年6月に新型コロナウイルス感染症に係る支援(1億円の寄付)が評価されて日本赤十字社から「金色有功章」の楯を拝受した。21年11月には、働き方改革を通じて生産性革命に挑む先進企業を選定する日本経済新聞社「第5回 日経スマートワーク経営調査」で3つ星の評価を獲得した。22年4月には株式会社ワーク・ライフバランスが主催する「男性育休100%宣言」に賛同すると発表した。22年6月には、さらなる健康経営の促進に向けて社員642名に「健康増進手当」を初支給した。22年9月にはスポーツ庁「FUN+WALK PROJECT」に参画した。23年3月にはスポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー2023」に認定された。また、経済産業省と日本健康会議が選定する健康経営優良法人認定制度に基づく「健康経営優良法人2023」に選定された。

 社会貢献関連では、22年9月に一般社団法人全国高等専門学校連合会主催の「第33回全国高等専門学校プログラミングコンテスト」に協賛、23年7月に全国新聞社事業協議会主催の「全国選抜小学生プログラミング大会」に協賛、23年8月には公益社団法人計測自動制御学会システムインテグレーション部門とソニーセミコンダクターソリューションズが主催する「Sensing Solution アイデアソン・ハッカソン 2023」に協賛した。23年10月にはベトナムの子会社CRESCO VIETNAMが、ベトナムで活動している教育型スポーツアカデミーの「さくらスポーツアカデミー(通称:SSA)」とスポンサー契約を締結した。さらに24年2月には2年連続でスポーツ庁「スポーツエールカンパニー」に認定された。

 24年2月には配当方針の変更を発表した。目標とする配当性向について、従来は「原則連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に」としていたが、変更後は「原則親会社株主帰属当期純利益の40%を目途に」とした。25年3月期の中間配当より適用する。

 また24年2月には情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格ISO/IEC27001:2022の認証を全社で取得した。

■デジタルソリューションや自社オリジナル製品を拡大

 中期成長に向けて、デジタルソリューションや自社オリジナル製品の拡大を推進している。オリジナル製品・サービスではIoTのKEYAKI、AIのMinervae、クラウドのCreageを3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 23年3月にはビジネスパートナー契約を締結しているUiPath社のダイヤモンドパートナーに認定された。23年10月には新たに開発したホテルの部屋割り業務最適化ツール「RooMagic」をリリースした。九州・東京・京都に展開するJR九州ホテルズでの導入が決定している。

■24年3月期増益予想

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比8.5%増の525億円、営業利益が5.0%増の52億50百万円、経常利益が4.6%増の53億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が7.6%増の35億82百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。22年3月期の50円には記念配当4円が含まれているため普通配当ベースでは4円増配の形となる。予想配当性向は29.4%である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比9.0%増の385億44百万円、営業利益が10.8%減の32億98百万円、経常利益が21.4%増の38億87百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.5%増の23億98百万円だった。

 受注が好調に推移して増収だが、営業利益は不採算プロジェクトの影響、人件費や教育費の増加などにより減益だった。経常利益は営業外損益でデリバティブ評価損益が10億90百万円改善(前年同期は評価損7億89百万円、当期は評価益3億01百万円)したことにより大幅増益だった。特別損失では、前年同期に計上したコーポレートロゴ等変更費用(1億13百万円)が剥落したが、子会社の日本ソフトウェアデザインに関連するのれん減損損失2億09百万円を計上した。

 ITサービス事業は、売上高が6.4%増の357億33百万円だが、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が6.4%減の44億20百万円だった。

 このうちエンタープライズは、売上高が8.7%増の147億31百万円だが、利益が25.7%減の13億51百万円だった。売上面は建設・不動産分野と情報・通信・広告分野の売上が大幅伸長するなど好調に推移したが、利益面は不採算プロジェクト3件(人材紹介・人材派遣分野で1件、流通サービス分野で2件)の発生により減益だった。

 金融は、売上高が1.9%増の108億22百万円だが、利益が0.3%減の13億43百万円だった。売上面では、保険分野・その他分野における大型案件の収束が影響したが、銀行分野の好調がカバーした。利益面は不採算プロジェクト1件(銀行分野で1件)の影響により微減益だった。

 製造は、売上高が8.0%増の101億78百万円で、利益が11.0%増の17億25百万円だった。機械・エレクトロニクス分野、特に自動車関連の好調により増収増益だった。

 デジタルソリューション事業は、売上高が57.4%増の28億11百万円、利益が48.1%増の1億46百万円だった。主力のクラウドサービス「Creage」やRPAライセンスの販売が増加して大幅増収増益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が前年比4.4%増の118億81百万円で営業利益が47.3%減の4億70百万円、第2四半期は売上高が15.3%増の137億50百万円で営業利益が11.4%増の15億08百万円、第3四半期は売上高が7.0%増の129億13百万円で営業利益が9.1%減の13億20百万円だった。第1四半期と第3四半期は不採算プロジェクトが影響した。

 通期連結業績予想は据え置いている。受注が高水準に推移し、人材投資(教育研修プログラムの実施・強化、給与水準の引き上げ、過去最大規模の新卒社員採用など)による費用増加を吸収する見込みとしている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高73%、営業利益63%、経常利益72%、親会社株主帰属当期純利益67%だった。第3四半期累計は減益だったが、第4四半期の構成比が高い季節要因に加えて、1件残っている不採算プロジェクトに関する受注損失引当が完了し、通期は他の案件でのリカバリーを目指すとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。

■株価は上値を試す

 株価は反発して戻り高値圏だ。配当性向引き上げも評価材料であり上値を試す展開を期待したい。3月1日の終値は2013円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS173円89銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1160円39銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約443億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■バンダイナムコの情報発信基地  バンダイナムコホールディングス<7832>(東証プライム)は3月…
  2. ■セブン‐イレブン松戸常盤平駅前店をリニューアル  セブン&アイ・ホールディングス<3382>(東…
  3. ■新型コロナウイルス感染症や能登半島地震の影響で業績悪化した銘柄が反発  今週の当コラムでは、株価…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  2. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…
  3. ■「2.0相場」の幕開けに向けた市場の潮流  「2024年問題」は、Xデーの4月1日を前に新聞、テ…
  4. ■「2024年問題」を超える新たな株価ストーリーの幕開け  「理想で買って現実で売る」といえば、株…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る