クリーク・アンド・リバー社は25年2月期増収増益・連続増配予想

(決算速報)
 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は4月11日の取引時間終了後に24年2月期連結業績を発表した。営業・経常増益(純利益は前期計上の特別利益の剥落で減益)と順調だった。日本クリエイティブ分野拡大が牽引し、医療分野の新型コロナウイルスワクチン関連反動減、新卒採用増加、新設子会社投資などの影響を吸収した。25年2月期も増収増益で14期連続増配予想としている。引き続き日本クリエイティブ分野の順調な拡大が牽引し、新規事業分野の子会社の収益改善なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得も発表した。株価は3月の直近安値圏から反発して下値切り上げの動きを強めている。自己株式取得も評価材料であり、出直りを期待したい。

■24年2月期営業・経常増益、25年2月期も増収増益・連続増配予想

 24年2月期の連結業績は。売上高が23年2月期比12.9%増の497億99百万円、営業利益が3.7%増の41億03百万円、経常利益が3.4%増の41億37百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.3%減の26億58百万円だった。配当は23年2月期比14円増配の41円(期末一括)とした。連続大幅増配で配当性向は33.9%となる。

 各利益は計画(営業利益45億円、経常利益45億円、親会社株主帰属当期純利益30億円)をやや下回ったものの営業・経常増益と順調だった。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の特別利益の剥落で減益だった。日本クリエイティブ分野の順調な拡大が牽引し、医療分野の新型コロナウイルスワクチン関連反動減、新卒採用増加、新設子会社投資などの影響を吸収した。営業利益の23年2月期比+1億47百万円の増減分析は、新卒費用(研修費・未稼働人件費)が▲87百万円、収益認識基準変更影響(第1四半期に影響)が▲30百万円、医療分野における新型コロナウイルスワクチン関連反動減影響が▲2億75百万円、新設子会社(7社)投資が▲1億38百万円、利益増加が+6億77百万円だった。

 日本クリエイティブ分野(6社)は売上高が15.2%増の349億77百万円、営業利益(全社費用等調整前)が4.7%増の28億78百万円だった。計画をやや下回ったものの、前期比ではゲーム・WEB関連を中心に概ね順調に推移した。

 韓国クリエイティブ分野(2社)は。売上高が2.7%増の35億53百万円、営業利益が41百万円の損失(23年2月期は16百万円の損失)だった。Webtoonが伸長して増収だが、TV局向け派遣稼働数が減少し、営業損失が拡大した。

 医療分野(2社)は売上高が3.6%増の54億17百万円、営業利益が3.4%減の12億93百万円だった。新型コロナウイルスワクチン関連反動減の影響があったものの、医師紹介・イベント事業は順調だった。

 会計・法曹分野(2社)は、売上高が7.9%増の24億88百万円、営業利益が7.2%増の1億71百万円だった。紹介事業、派遣事業が伸長した。

 その他事業(新規事業16社)は売上高が21.4%増の33億63百万円、営業利益が2億円の損失(同2億75百万円の損失)だった。投資段階事業が多いため全体として営業損失だが、前年比では損失縮小した。売上面は16社のうち5社合計で4億61百万円増収、新規設立・グループ化7社合計で2億11百万円増収、利益面は6社合計で1億98百万円増益、投資が増加した3社合計で1億21百万円減益、新規設立・グループ化7社合計で19百万円減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高127億45百万円で営業利益15億80百万円、第2四半期は売上高125億10百万円で営業利益10億22百万円、第3四半期は売上高125億72百万円で営業利益8億80百万円、第4四半期は売上高119億71百万円で営業利益6億21百万円だった。なお医療分野の収益は第1四半期と第2四半期に偏重する季節特性がある。

 25年2月期連結業績予想は売上高が24年2月期比10.4%増の550億円、営業利益が17.0%増の48億円、経常利益が16.0%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が16.6%増の31億円としている。配当予想は24年2月期比2円増配の43円(期末一括)としている。予想配当性向は30.5%となる。

 増収増益で14期連続増配予想としている。新卒採用増加(グループ合計で22年4月入社160名、23年4月入社344名、24年4月入社361名)や戦略投資などでコストが増加するが、日本クリエイティブ分野の順調な拡大に加え、医療分野における新型コロナウイルスワクチン関連反動減影響の一巡、新規事業会社の収益改善などで吸収する見込みだ。

 事業別の計画は、日本クリエイティブ分野の売上高が10%増の385億円で営業利益が11%増の32億円、韓国クリエイティブ分野の売上高が7%減の33億円で営業利益が40百万円の損失(24年2月期は41百万円の損失)、医療分野の売上高が7%増の58億円で営業利益が8%増の14億円、会計・法曹分野の売上高が8%増の27億円で営業利益が17%増の2億円、その他(前期比2社増加の18社)の売上高が37%増の50億円で営業利益が50百万円利益(同2億円の損失)としている。

 日本クリエイティブ分野では既存事業の成長を見込み、新卒社員の早期戦力化や採算管理強化を推進する。韓国クリエイティブ分野では引き続きTV局向け派遣の減少を想定している。医療分野では医師紹介事業の好調推移に加え、新型コロナウイルスワクチン関連反動減影響も一巡するが、需要増に対応した営業体制見直し等の構造改革費用を織り込んでいる。会計・法曹分野では会計士・弁護士の紹介事業が伸長する見込みだ。その他分野では各社の収益改善を見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は下値切り上げ

 なお4月11日に自己株式取得を発表した。上限は30万株・5億円で取得期間は24年4月12日~24年8月31日としている。

 株価は3月の直近安値圏から反発して下値切り上げの動きを強めている。自己株式取得も評価材料であり、出直りを期待したい。4月11日の終値は1985円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS140円93銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の43円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS713円59銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約457億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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