【編集長の視点】ZUUは大幅増収増益:フィンテックと経済界子会社化の相乗効果でV字回復

■V字回復業績を手掛かりに三角保ち合いに煮詰まり感

 ZUU<4387>(東証グロース)は、前日30日に前週末比変わらずの701円で引けた。ただ寄り付きでは695円と700円を割る場面もあり、25移動平均線を出没する三角保ち合いを続けたが、この保ち合いに煮詰まり感も出てきた。同社の今2026年3月期の営業利益が、1億円と低水準ながら、前期比7.1倍とV字回復が予想されていることを手掛かりに売られ過ぎ修正の打診買いが交錯した。今年3月に経営者向け経済雑誌を発行する経済界(東京都千代田区)の株式を取得して子会社化したことも、富裕層向けのビジネス展開に追い風となるとしてフォローの材料視されている。

■フィンテック・トランザクション事業は新規提携のシナジー効果で大幅増収

 今2026年3月期業績は、売り上げ34億円(前期比13.6%増)、営業利益1億円(同7.14倍)、経常利益1億2500万円(同2.31倍)、純利益300万円(同97.3%減)と予想されている。売り上げは、前期の1ケタ増収から2ケタ増収と増収率を伸ばし、営業利益、経常利益は、前期の連続減益着地から大幅増益転換する。同社は、日本最大の金融メディア「ZUU online」などの複数メディアで月間訪問者数が延べ1500万を超え富裕層・経営者層向けのフィンテック・ビジネスを展開しており、フィンテック・プラットフォーム事業では、金融・不動産DX事業の既存案件のアップセルやコンサルティングサービスの提供先へのクロスセルを進め、フィンテック・トランザクション事業では、新規提携によるシナジー効果で金融トランザクションサービスを拡大させ、売り上げが前期比40.1%増と大幅増となることなどが寄与する。なお、純利益は、前期に計上した投資有価証券売却益が一巡し減益転換を見込んでいる。

 なお経済界の子会社化は、今年3月24日に総額3900万円で経済界の第三者割当増資を引き受け、同社株式40.3%を取得したものである。経済界は、経営者向けの経済誌『経済界』を発行するとともに、経営者1000名以上の会員が異業種交流する「経済倶楽部」も運営しており、ZUUの富裕層向けのフィンテック・ビジネスに今期フル貢献が期待されている。

■25日線出没の三角保ち合いの上放れからまず5月の戻り高値奪回

 株価は、経済界の子会社化を評価して年初来高値954円へ急伸し、トランプ関税による世界同時株安で年初来安値644円と売られるなど大きく変動し、今期業績のV字回復予想でも823円の戻り高値を付ける場面もあったが、新興市場の人気離散などが響いて683円安値まで再調整し、25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続けてきた。この保ち合いも3カ月が経過し日柄的にも煮詰まり感を強めてきた。保ち合いを上放れまず今年5月の戻り高値823円奪回に動き、年初来高値954円へキャッチアップしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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