【株式市場特集】株式分割銘柄に注目集まる、地銀2行や日本製鉄も焦点

■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明

 東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反落した影響に加え、石破茂首相の辞任表明による政局不安から下落圧力を受ける見通しだ。日米金融政策決定会合を控え不透明感は一段と増しており、投資家は株式分割銘柄を中心に動向を注視している。北國FHや第四北越FGといった地銀2行、日本製鉄やIHIなどの構造改革関連銘柄に加え、太平電業や高島など高配当利回りを誇る分割銘柄も対象となる。さらに西華産業やアズームなど業績修正や増配と絡んだダブルセット銘柄、三井松島HDの自己株式取得策も浮上しており、投資判断は安全志向が求められている。

■地銀2行と日本製鉄、IHIは事業構造改革が権利取りの成否を左右

 「訳あり」株式分割銘柄としてまず外せないのが地銀2行だろう。北國フィナンシャルホールディングス<7381>(東証プライム)は、増配と自己株式取得・消却を合わせて発表するとともに今年10月の商号変更を予定し、第四北越フィナンシャルグループ<7327>(東証プライム)は、増配とともに群馬銀行<8334>(東証プライム)との経営統合を控え今後、株式交換比率への期待も高まってくる。主力株では、日本製鉄<5401>(東証プライム)が、USスチールの買収で今3月期業績を下方修正し純利益が赤字転換、配当も減配予想にあるが、今後のUSスチールの動向次第では権利取りも一考余地があり、今期配当の増配と子会社売却の事業構造改革が続くIHI<7013>(東証プライム)とともに注目される。

 セット銘柄では、株式分割と実質増配を発表した銘柄が多く、コード番号順に上げると太平電業<1968>(東証プライム)、高砂熱学工業<1969>(東証プライム)、オーウイル<3143>(東証スタンダード)、フライングガーデン<3317>(東証スタンダード)、特殊東海製紙<3708>(東証プライム)、鶴見製作所<6351>(東証プライム)、ZACROS<7917>(東証プライム)、高島<8007>(東証プライム)と続き、配当利回りトップの高島は5.11%と東証プライム市場の高配当利回りランキングの第39位にランクインする。

■ダブルセット銘柄は業績上方修正、増配、自己株式取得などが混在

 ダブルセット銘柄では、業績上方修正と増配の西華産業<8061>(東証プライム)のPERは11倍、配当利回りは3.72%と割安を示唆し、業績修正と記念増配のアズーム<3496>(東証プライム)も、同じく15倍、2.22%となる。渋沢倉庫<9304>(東証プライム)のダブルセットは増配と自己株式取得で配当利回りは3・99%、PERは12倍の評価になる。別格なのが大株主の南青山不動産の保有株を引き取るために自己株式取得を実施した三井松島ホールディングス<1518>(東証プライム)で、配当も増配し配当利回りは3.49%、PERは8倍台である。

 このほか優待制度新設・拡充ではチノー<6850>(東証プライム)、ゴールドウイン<8111>(東証プライム)、自己株式消却のコスモエネルギーホールディングス<5021>(東証プライム)が続き、このうちチノーは前週末5日に年初来高値を更新したがPERは11倍、配当利回りは3.23%と割り負けている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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