買い落城の安峠・売り落城の高峠=犬丸正寛の相場格言

■買い落城の安峠・売り落城の高峠

<img src=”http://soubakakugenn.up.seesaa.net/image/kaino.jpg” width=”240″ height 落城とは、言うまでもなく戦いに敗れて城を明け渡すこと。峠とは、ここでは「フシ」「転機」と受け取ってください。安峠は底値、高峠は天井の意味です。これも当たり前の話ですが、戦いには必ず相手がいるのですが、しかし、株式投資については、「自分で銘柄を研究して投資をするのだから相手は関係ない。戦いがあるとすれば自分の欲との戦い」と思われている方も多いことでしょう。確かに、最終的には自分の欲との戦いですが、実際には欲があろうとなかろうと投資家はマーケットという戦いの場にさらされているのです。弓矢や砲弾こそ飛んできませんが、投資家の「欲」につけ込んだ心理戦なのです。

 戦国時代には全国あちこちで大小の戦いが繰り広げられたとありますが、武田信玄と上杉謙信のような大きな戦もありました。株式市場でも小さな相場、大きな相場が展開され、そこでの戦いの相手は「買い方」と「売り方」です。参加者ということでいえば、外国人投資家、生損保・投信・郵貯・年金などの機関投資家、一般企業、金融機関、団体、個人など非常に多岐にわたっていますが、厄介なのは、これらの投資家を買い方、売り方と決めつけることができないことです。買った株は売却しないと戦いに勝ったことにならないからです。したがって、昨日までは買いの強い味方だと思っていたが、今日は売りに回って敵となるのです。株式市場のほうが戦国時代より信用できない世界です。

 現在は外国人投資家が大きな戦いを仕掛けていますが、10数年前までは仕手筋による戦いでした。武器には信用取引が使われました。信用取引はお金を借りて株を買う、あるいは株券を借りて売却するという行為です。仕手筋はほとんどの場合、「買い方」で、戦う相手は信用で株券を売る「売り方」(カラ売り)です。三光汽船、グリコ、住友鉱山、帝国石油、不二家、中山製鋼など昭和40年代には、こうした信用取引を利用した買い方と売り方の戦いが数多く見られたものです。まさに、昔の戦国時代に匹敵するような乱世ではなかったかと思います。こうした仕手戦は信用取引という武器の使用期間が6ヶ月という制限のあったため勝敗の白黒がはっきりしたものでした。

 破れた買い方の場合は、信用取引のお金を返すために処分売りをしたところが底、即ち、買い方落城の「安峠」となり、売り方が敗れる場合は損を覚悟で株券を買い戻して返す、つまりこれを踏み上げとかイレ上げといいますが、売り方の落城となるわけで相場は高値をつける「高峠」と教えています。現在では昔のような仕手筋はいないようですが、外国人投資家を仕手筋と置き換えれば納得できることは多いと思います。今の外国人投資家はM&Aで日本の企業と戦い、最終的には日本の個人投資家に彼らが買い込んだ株を肩代わりさせるような戦いをやっているのではないでしょうか。外国人にやられない大和魂を見直したいものです。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る