日経平均「歴史的急落」の教訓、ブラックマンデーから令和ショックまで

■歴史は繰り返す――急落相場の共通パターン

 3月9日の東京株式市場で、日経平均株価が一時前週末比4100円超安となり、5万2000円を割り込んだ。終値ベースで2892円安となり、1987年10月20日の米国ブラックマンデー直後の急落に次ぐ、過去3番目の下げ幅となった。値下がり銘柄が80%超に達する全面安となり、市場はパニック売りに包まれた。背景には米雇用統計の急悪化と原油高によるインフレ懸念がある。米国では2月の非農業部門雇用者数が前月比マイナス9万2000人と市場予想を大きく下回り、景気減速と物価上昇が同時に進むスタグフレーション懸念が広がった。こうした「海外ショックを起点とする急落」は、日本株市場の歴史の中で繰り返されてきた構図でもある。

■ブラックマンデー――急落の原型

 歴史的急落の代表例が1987年のブラックマンデーである。米国株が約22%暴落した翌営業日、日経平均は約3836円安、下落率約−14.9%と歴代最大の下落率を記録した。先物やプログラム売買が売りを増幅し、海外投資家主導でパニック的な売りが広がった。しかし当時の日本はバブル経済の拡大局面にあり、株価は乱高下を繰り返しながらも上昇基調を維持し、1989年には史上最高値を更新した。急落が長期上昇トレンドを崩さなかった典型例といえる。

■金融危機とパンデミックが市場を揺らす

 2008年のリーマンショックでは状況が一変した。米サブプライム問題とリーマン・ブラザーズ破綻により金融システム不安が拡大し、日経平均は最安値まで約41%下落した。輸出や金融、不動産など広範な業種が売られ、日本経済の外需依存の高さが株価下落を加速させた。一方、2020年のコロナショックでは約2カ月で約29%下落したものの、各国の金融緩和と財政出動を背景に市場は急速に回復し、翌年には3万円台を回復した。危機の性質によって回復スピードが大きく異なることを示す事例である。

■政治イベントが市場を揺らす瞬間

 政治イベントも株価急落の引き金となってきた。2016年の英国EU離脱(Brexit)では、国民投票の結果がサプライズとなり、日経平均は約1286円安、下落率約−7.92%を記録した。急激な円高が進行し、輸出関連株を中心に売りが広がった。ただし世界金融危機級の事態には発展せず、各国中央銀行の緩和姿勢を背景に市場は徐々に落ち着きを取り戻した。

■「令和ショック」と相場の未来

 近年では2024年8月5日、日経平均が約4451円安と過去最大の下落幅を記録し、「令和のブラックマンデー級」と呼ばれた。東証プライムでは約800銘柄がストップ安となる全面安だったが、翌日には3217円高と急反発した。歴史を振り返ると、急落直後はボラティリティが高まり市場は混乱するものの、金融政策や景気対策が機能すれば回復に向かうケースが多い。

 今回の急落の背景には、原油高と米雇用悪化という新たなリスクがある。インフレと景気減速が同時に進むスタグフレーションが本格化すれば、相場の回復には時間を要する可能性もある。ただ、ブラックマンデーからコロナショックまで、日本株は幾度もの急落を乗り越えてきた。歴史は繰り返す。相場の真価は、危機の後にこそ問われる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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