徳川美術館、国宝「源氏物語絵巻」10年ぶり全点公開、開館90周年記念展

■巻子装に復元された徳川本と額装の五島本、形を異にする二つの国宝が集結

 徳川美術館(名古屋市)は11月3日、国宝「源氏物語絵巻」を10年ぶりに全点公開する特別展を開催すると発表した。同館開館90周年を記念した企画であり、現存する最古の物語絵巻とされる徳川美術館・五島美術館所蔵の作品に加え、断簡も含めた全資料が一堂に展示される。平安時代に制作され、詞書と絵を交互に配した絵巻形式の極致として高く評価される同作品は、国宝指定を受ける唯一の「源氏物語絵巻」である。

 展示される国宝絵巻は、徳川家伝来の「徳川本」と五島慶太が所蔵した「五島本」の二系統に分かれる。徳川本は昭和期に巻子装から額装に改装されたが、劣化や台紙の反りにより保存リスクが高まったため、平成28年から4年をかけて再び巻子装へと復元された。一方、五島本は額装の姿のまま保存されており、今回の展覧会では「形を変えた二つの国宝」が揃う希少な機会となる。また、平成の復元模写事業で再現された鮮やかな色彩も併せて紹介し、制作当時の美意識と技術を体感できる内容とした。

 見どころとして、人物描写に用いられる「引目鉤鼻」の繊細な表現や、光源氏の人生を揺るがす不義密通の場面など、物語の核心を描いた絵図が挙げられる。特に「柏木」や「鈴虫」の場面では、血縁と秘められた罪、静かな情愛が交錯する象徴的な情景が鑑賞可能となる。展示は11月15日から12月7日までで、混雑が予想されるため日時指定制を導入する。料金は一般1,600円、高大生800円、小中生500円とした。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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