
■1965年以降で最長、7年9か月続いた異例の長期化
気象庁と海上保安庁は8月29日、2017年8月に発生した黒潮大蛇行が2025年4月に終息したと発表した。今回の大蛇行は7年9か月続き、1965年以降で最長の継続期間となった。5月9日時点で気象庁が「終息の兆し」を公表していたが、その後も観測を継続し、東海沖での黒潮の緯度変動や潮岬沖での接岸状況から大蛇行が安定的に消失したことが確認された。黒潮は現在、潮岬を東に流れ、伊豆諸島付近では八丈島南方を通過している。
気象庁と海上保安庁は、向こう1か月について一時的な蛇行は予想されるが、大規模な大蛇行は再発しない可能性が高いと見通している。黒潮の流路は船舶航行の経済性や漁場形成、魚種分布、沿岸環境に大きな影響を与えるため、流路の変動は産業や地域社会に直結する重要な情報である。今回の終息判断は、船舶運航や漁業活動、環境モニタリングにおける基礎情報として活用される見込みだ。
過去の黒潮大蛇行は、1975年からの約4年8か月、1981年からの約2年7か月などがあるが、今回の7年9か月は記録的な長さとなった。黒潮は太平洋を流れる大規模海流であり、日本周辺の気候や生態系、経済活動に多大な影響を及ぼす。両庁は今後も継続的な観測を行い、海流の変動を注意深く監視していく方針を示した。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)