ジェイエスエス、26年3月期大幅増益予想で中間期順調、会費改定とM&A効果が寄与

 ジェイエスエス<6074>(東証スタンダード、名証メイン)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略としてM&A戦略を強化する方針を打ち出し、3年以内に売上高100億円・100店舗・時価総額50億円以上を目指すとしている。26年3月期は大幅増益・連続増配予想としている。子会社化したワカヤマアスレティックの通期寄与に加え、会費改訂効果なども寄与する見込みだ。中間期は2桁営業増益と順調だった。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏から反落して水準を切り下げる形となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRといった指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■スイミングスクール運営首位

 スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。20年3月に日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携し、日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するティップネス(スポーツ施設運営企業として業界3位規模)と協業してシナジー創出を推進している。24年5月には和歌山エリアでスイミングスクール等を展開するワカヤマアスレティックを子会社化した。

 25年9月30日現在の事業所数は直営64ヶ所、受託22ヶ所、子会社(ワカヤマアスレティック)3ヶ所の合計89ヶ所(うちコンパクトプールが直営13ヶ所と受託2ヶ所の合計15ヶ所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の事業所数を誇っている。また26年3月期中間期末の合計会員数(連結ベース)は前年同期比7.3%減の8万2760人、コース別会員数(個別ベース)は選手・育成コースが4.2%減の41.25人、ベビー・キンダーコースが12.2%増の2039人だった。

 児童発達支援および放課後等デイサービス事業「JSS水夢」については、2事業所目として22年12月にJSS水夢北神戸(仮称、兵庫県神戸市北区、JSS北神戸スイミングスクール内)を開設した。23年1月には静岡県磐田市の福田屋内スポーツセンターおよび磐田温水プールの指定管理者(指定管理期間23年1月11日~28年3月31日)に選定された。25年4月には有田市民公共水泳場「えみくるARIDA」の指定管理者であるミズノスポーツサービスと、当該施設の共同運営に関する施設運営業務委託契約を締結した。

 25年3月期の部門別売上高は、スイミングスクール収入が72億90百万円(内訳は直営事業収入が60億87百万円、受託事業収入が7億64百万円、企画課外収入が4億38百万円)で、商品売上が5億71百万円、その他の営業収入が28百万円、子会社収入が4億92百万円だった。

 スイミングスクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。同社の強みとしては、国内最多のスイミングスクールを展開する業界唯一の上場企業としての豊富な出店・運営ノウハウの蓄積や、数多くのオリンピック選手やメダリストを輩出している指導力などがある。

■M&A戦略を強化

 成長戦略として新たにM&A戦略を強化する方針を打ち出し、目標として3年以内(28年)に売上高100億円・100店舗・時価総額50億円以上を目指すとしている。M&Aを軸として健康産業全体における領域拡大を図るとともに、地域に根差した青少年の健全育成やスポーツ振興を加速し、事業拡大・収益性確保の実現を目指す。会員数回復施策としては、各事業所における地域特性に合った入会キャンペーンの実施、中高生をターゲットとするクラス「JSS部」の推進、WEBによる認知拡大とブランディング強化などを推進する。

 なお22年4月の東京証券取引所の市場区分見直しに伴ってスタンダード市場を選択し、21年11月にスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示していたが、25年2月27日付で名証メイン市場へ上場して東証スタンダード市場との重複上場となった。また25年9月30日時点でスタンダード市場の上場維持基準に適合した。

■26年3月期大幅増益・連続増配予想

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比9.7%増の91億92百万円、営業利益が120.8%増の5億56百万円、経常利益が115.8%増の5億46百万円、親会社株主帰属当期純利益が84.8%増の3億55百万円としている。配当予想は前期比2円50銭増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。連続増配で予想配当性向は21.8%となる。

 中間期の連結業績は売上高が前年同期比3.2%増の43億44百万円、営業利益が18.0%増の2億47百万円、経常利益が16.1%増の2億41百万円、親会社株主帰属中間純利益が6.5%増の1億59百万円だった。

 25年6月に実施した会費改定効果、およびワカヤマアスレティックスの連結効果(前期は第2四半期よりPLを連結)などで増収となり、先行投資による人件費や広告宣伝費の増加を吸収して大幅営業増益だった。中間期末時点のグループ会員数は前年同期比7.3%減の8万2760人だった。

 部門別売上高は、スイミングスクール収入が1.0%増の37億58百万円(直営事業収入が1.6%増の31億43百万円、受託事業収入が2.8%減の3億79百万円、企画課外収入が0.8%減の2億35百万円)で、商品売上が2.3%減の2億93百万円、その他の営業収入が横ばいの13百万円、子会社収入が2億79百万円(前年同期は第2四半期の1億71百万円)だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が20億62百万円で営業利益が28百万円、第2四半期は売上高が22億82百万円で営業利益が2億19百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて売上高が前期比9.7%増の91億92百万円、営業利益が120.8%増の5億56百万円、経常利益が115.8%増の5億46百万円、親会社株主帰属当期純利益が84.8%増の3億55百万円)としている。配当予想は前期比2円50銭増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。連続増配で予想配当性向は21.8%となる。

 M&A効果に加え、大人への訴求力強化等を推進する方針だ。中間期の進捗率は売上高が47%、営業利益が44%、経常利益が44%、親会社株主帰属当期純利益が45%である。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は年初来高値圏から反落して水準を切り下げる形となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRといった指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。11月27日の終値は539円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS91円68銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS775円50銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約22億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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