ソフトクリエイトホールディングス、26年3月期は増収増益・6期連続増配予想、EC・IT両事業が堅調

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)は、ECサイト構築パッケージ等のECソリューション事業、およびシステムインテグレーションやワークフローシステム等のITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。26年3月期は増収増益・6期連続増配予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも拡大し、人件費等の増加を吸収する見込みだ。事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は11月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業およびITソリューション事業を展開

 ECサイト構築パッケージ等のECソリューション事業、およびシステムインテグレーションやワークフローシステム等のITソリューション事業を展開する持株会社で、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。主要連結子会社はECソリューション事業のecbeing、エートゥジェイ、visumo<303A>、ReviCo、ITソリューション事業のソフトクリエイト、エイトレッド<3969>、システムワークスジャパンなどである。

 また25年4月にソフトウェア品質検証事業のクオリティ・アイを連結子会社化、25年10月にエートゥジェイがECサイト構築プラットフォーム「メルカート」事業を分社化してメルカートを設立した。なお11月17日にアプリマーケティングプラットフォーム「MGRe」運営のメグリ社の株式取得(80%程度)に向けた検討開始に関する基本合意書締結をリリースした。また26年1月(予定)にvisumoがReviCoを吸収合併する。

 25年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が166億21百万円、ITソリューション事業が143億30百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が40億72百万円、ITソリューション事業が29億297百万円、経常利益の調整額が▲13億06百万円だった。

 売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が110.2億円、デジタルマーケティングが34.6億円、ECクラウドサービスが21.3億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が65.4億円、ITパッケージが22.3億円、ITクラウドサービスが28.7億円、IT機器が26.6億円だった。各分野とも増収基調となっている。

■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力

 ECソリューション事業は、ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスを主力に、全農ECソリューションズの全国農業協同組合連合会のECサイト運用業務、visumoのビジュアルマーケティングプラットフォーム開発・運営、Revicoのレビューマーケティングプラットフォーム「Revico」運営、エートゥジェイのコンテンツマーケティング事業なども展開している。

 ECサイト構築パッケージecbeingは、ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に、国内ECサイト累計構築実績が22年度末時点で1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における同社の市場シェアは17年連続1位(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2025年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2024年度実績)である。

 22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMOをリリースした。

 25年5月にはecbeingが「LINEヤフー Partner Program」において、25年度の「Technology Partner」の「LINEミニアプリ部門」に認定された。25年6月にはecbeingがクロスシーと協業した。日本の「TikTok Shop」のローンチを見据え、企業の出店支援サービスを展開する。25年9月にはecbeingがAIデジタルスタッフをAIチャットボットからAIエージェントに進化させ、新機能として「商品ご案内機能」と「オフラインデータ連携」をリリースした。

■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力

 ITソリューション事業はソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーションやIT機器販売、エイトレッドのワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X-point Cloud)を主力としている。

 ソフトクリエイトは24年2月に企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリース、24年5月にSafe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。また25年8月にはSafe AI Gatewayをベースに、独自エンジンを利用した自立支援型AIエージェントSafe AI Agentを開発した。

 エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計5000社を突破している。そしてクラウド型X-point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。

■26年3月期増収増益・6期連続増配予想

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比8.2%増の335億円、営業利益が9.1%増の60億円、経常利益が7.6%増の62億円、親会社株主帰属当期純利益が6.5%増の37億80百万円としている。配当予想は前期比7円増配の62円(第2四半期末31円、期末31円)としている。6期連続増配で予想配当性向は40.9%となる。

 中間期の連結業績は売上高が前年同期比8.8%増の165億08百万円、営業利益が4.7%増の27億39百万円、経常利益が10.3%増の30億39百万円、親会社株主帰属中間純利益が5.7%増の18億69百万円だった。

 概ね計画(25年5月9日公表の期初計画値、売上高162億30百万円、営業利益27億70百万円、経常利益29億円、親会社株主帰属中間純利益17億70百万円)水準の増収増益と順調だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも増収となり、全体として人件費など増加を吸収した。なお、営業外収益では持分法による投資利益が1億26百万円増加(前期は63百万円、当期は1億89百万円)し、特別利益では前期計上の投資有価証券売却益1億12百万円が剥落した。

 ECソリューション事業は、売上高(外部顧客への売上高)が7.6%増の87億70百万円、経常利益(全社費用等調整前)が16.9%増の22億77百万円だった。主力のECサイト構築売上高が順調に拡大し、ECサイトの売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が5.3%増の58.2億円、デジタルマーケティングが11.7%増の17.9億円、ECクラウドサービスが13.6%増の11.5億円だった。

 ITソリューション事業は売上高が10.2%増の77億37百万円、経常利益が4.1%減の13億52百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大して2桁増収だが、人件費等の増加により小幅減益だった。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が8.1%増の34.1億円、ITパッケージが10.1%減の10.1億円、ITクラウドサービスが35.5%増の18.2億円、IT機器が6.8%増の14.8億円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が78億87百万円で営業利益が11億08百万円、第2四半期は売上高が86億21百万円で営業利益が16億31百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、人件費等の増加を吸収する見込みだ。売上高計画はECソリューション事業が10.1%増の183億円、ITソリューション事業が6.1%増の152億円としている。経常利益4.4億円増の増減要因分析(見込み)は、売上総利益増加で11.5億円増、人件費増加で5.2億円減、研修費・採用費増加で0.4億円減、その他経費(税金等)増加で1.5億円減としている。

 中間期の進捗率は売上高が49%、営業利益が46%、経常利益が49%、親会社株主帰属当期純利益が49%と概ね順調である。事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。

■株価は反発の動き

 株価は上値を切り下げる形だったが、11月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。12月2日の終値は2100円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS151円74銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の62円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS836円23銭で算出)は約2.5倍、そして時価総額は約579億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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