JSP、ARPRO好調で通期予想を上方修正、増収増益へ転換
- 2026/2/10 07:42
- アナリスト銘柄分析

JSP<7942>(東証プライム)は発泡プラスチック製品の大手である。グローバルニッチのマーケットリーダーとしてのさらなる競争優位性の追求、4つの成長エンジンを中心とした収益性の高い成長分野への集中投資などにより収益の最大化を図り、資本効率の向上を目指している。26年3月期第3四半期累計は増収増益だった。高付加価値製品が堅調に推移した。そして通期の連結業績予想を上方修正し、従来の減収減益予想から一転して増収増益予想とした。米国関税政策影響などにより北米での需要調整局面を見込んでいたが、発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とする高機能材製品が堅調に推移している。また配当予想も上方修正した。高機能材製品の好調によって通期予想に再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上方修正を好感して急伸し、18年以来の高値圏だ。依然として指標面に割安感があり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■発泡プラスチック製品の大手
発泡プラスチック製品の大手で、押出発泡技術をベースとするポリスチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンシートなどの押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレイ材、住宅用断熱材、一般包材など)、およびビーズ発泡技術をベースとする発泡ポリプロピレン・発泡ポリエチレン・発泡性ポリスチレン製品などのビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)を展開している。
22年1月には射出成形事業参入を目的としてGHEPI社(イタリア)に35%出資、23年9月には射出成形事業拡大を目的としてHAPP社(ドイツ)に70%出資、24年1月にはリサイクル発泡ポリプロピレン(ARPRO RE)供給体制強化を目的としてGID社(ドイツ)に30%出資、25年7月にはGHEPI社およびHAPP社の株式を追加取得して完全子会社化した。また26年2月にはGHEPI社の社名をJSP Injection Moulding Solutions S.r.l.へ、HAPP社の社名をInjection Moulding Solutions GmbHへ、それぞれ変更した。
25年3月期セグメント別業績は、押出事業の売上高が493億85百万円で営業利益(全社費用等調整前)が16億45百万円、ビーズ事業の売上高が928億65百万円で営業利益が63億73百万円だった。収益は販売数量、為替、原料価格と販売価格の差であるスプレッド、プロダクトミックスなどが影響する。なお25年3月期より、その他を押出事業に統合した。
なお、三菱瓦斯化学<4182>が所有していた同社株式の一部を自己株式として取得し、23年12月22日をもって三菱瓦斯化学が親会社に該当しないこととなった。三菱瓦斯化学の持分法適用会社となって良好な取引関係を継続する。
■新中期経営計画「Change for Growth 2026」
長期ビジョン「VISION2027」の最終段階として、24年4月に新中期経営計画「Change for Growth 2026」(25年3月期~27年3月期)を策定し、基本コンセプトにグループ全体の収益力強化、発泡樹脂製品による社会への貢献、経営期間の強化を掲げた。
定量目標は27年3月期の売上高1600億円、営業利益100億円、営業利益率6.3%、経常利益104億円、親会社株主帰属当期純利益73億円、自己資本利益率(ROE)7.0%以上(中長期的には8%以上)とした。セグメント別目標は、押出事業が売上高540億円、営業利益(全社費用等調整前)26億円、営業利益率4.8%、ビーズ事業が売上高1060億円、営業利益86億円、営業利益率8.1%としている。前提条件は、為替が140円/米ドル、150円/ユーロ、20円/人民元、ドバイ原油価格が90米ドル/バーレルである。3期累計の投資額は300億円(押出事業60億円、ビーズ事業210億円、共通30億円)の計画としている。収益力の強化により売上高、営業利益とも過去最高を目指す。なお株主還元方針を見直し、配当性向35%以上を目安とする。
収益力強化に向けた取り組みとしては、グローバルニッチのマーケットリーダーとしてのさらなる競争優位性の追求、4つの成長エンジンを中心とした収益性の高い成長分野への集中投資、ARPRO事業の自動車部品分野および非自動車部品分野への拡販、高まる環境ニーズに対する環境対応型製品の拡販による差別化、高付加価値製品の拡販や生産性向上によるコストダウンおよび適切な価格転嫁の実施を推進することにより、収益の最大化を図り、資本効率の向上を目指すとしている。
なお4つの成長エンジンは、ビーズ事業におけるARPRO(アープロ)事業、押出事業における建築住宅断熱材、押出事業におけるFPD表面保護材、および新事業領域である。ARPRO事業(発泡ポリプロピレン「ピーブロック」の製品名を全世界でARPROに統一)は、インドやメキシコ北部への進出、環境対応型製品や非自動車部品分野(空調システム分野等)への用途拡大、ブランド戦略推進による増販などにより販売数量23%増(24年3月期比)を目指す。ARPROは自動車軽量化要求に対応する製品として採用が拡大しているほか、非自動車分野として北米では競技用グランド基礎緩衝材用途、欧州ではHVAC(空調システム)用途などへの採用が広がっている。
建築住宅断熱材は、ミラフォームラムダやプレカット品など高付加価値製品の拡販により、販売数量15%増(24年3月期比)を目指す。FPD表面保護材は市場の高い成長性に加え、市場ニーズに対応した高付加価値製品の開発・拡販や新規顧客獲得により、販売数量21%増(24年3月期比)を目指す。新規事業領域は、出資する射出成形事業会社の売上規模拡大や国内開発案件(ブロー品など)の事業化に向けた取り組みを推進し、27年3月期売上高50億円を目指す。
25年2月には、4つの成長エンジンのうちの新事業領域におけるCOREDUAL製品の市場拡大に向けた取り組み強化をリリースした。FOAMCORE技術を用いた製品の販路拡大が見込まれるため、2025年4月より製品名称をCOREDUALとし、営業部門と連携を強化して拡販に注力する。COREDUALはブロー成形とビーズ成形を1つの金型で同時に行い、外皮と芯材を一体成形することで軽量かつ強度、断熱性に優れるという特徴がある。これまでは住宅資材用途を中心に展開してきたが、最近では自動車部品分野や建築・土木分野等にも用途が拡大している。
また25年12月には、インドのプネ工場およびメキシコのラモス・アリスペ工場が竣工し、操業を開始した。両地域においては自動車部品用途をはじめとするARPROの需要拡大を見込んでいる。そして今回の生産拠点の操業により、世界22拠点でARPROの生産が可能になった。
■サステナビリティ経営やコーポレート・ガバナンスも強化
サステナビリティ経営やコーポレート・ガバナンスも強化している。21年4月にサステナビリティ推進室を新設、21年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。また25年7月には、押出法ポリスチレンフォーム(XPS)軽量盛土材スチロダイアブロック「DXグレード」について、EPD(環境製品宣言)の一つである「EPD Hub」を取得した。今後も環境対応型製品による社会課題解決への貢献、グループ全体でのGHQ排出量削減、人的資本に対する取り組みを強化する方針だ。
■26年3月期は上方修正して一転増収増益予想、配当予想も上方修正
26年3月期の連結業績予想(25年7月31日付で下方修正)については、26年1月30日付で上方修正して、売上高が前期比0.5%増の1430億円、営業利益が1.6%増の70億円、経常利益が1.2%増の74億円、親会社株主帰属当期純利益が14.5%増の58億円としている。配当予想は期末10円上方修正して前期比10円増配の90円(第2四半期末40円、期末50円)としている。予想配当性向は40.7%となる。
前回予想(25年7月31日付で下方修正)に対して売上高を10億円、営業利益を10億円、経常利益を11億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円それぞれ上方修正し、従来の減収減益予想から一転して増収増益予想とした。米国関税政策影響などにより北米での需要調整局面を見込んでいたが、発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とする高機能材製品が堅調に推移している。前提条件は見直して為替レートは1米ドル=150円、原油価格(ドバイ)は65米ドル/バーレルとしている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比0.3%増の1086億40百万円、営業利益が6.4%増の61億08百万円、経常利益が1.3%増の65億30百万円、親会社株主帰属四半期純利益が14.8%増の56億34百万円だった。小幅ながら増収増益で着地した。高付加価値製品が堅調に推移した。なお特別利益に退職給付制度改定益3億94百万円、段階取得に係る差益1億18百万円を計上した。
押出事業は売上高が0.2%増の375億36百万円、営業利益(全社費用等調整前)が15.7%増の17億70百万円だった。2桁増益と順調だった。全体として販売数量は減少したが、一般包材および建築・住宅分野向けの高付加価値製品が好調に推移した。
ビーズ事業は売上高が0.4%増の711億04百万円、営業利益が0.6%減の50億17百万円だった。売上高、営業利益とも概ね前年同期並みだった。発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とする高機能材製品の自動車分野向けが減少し、人件費の増加なども影響した。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が343億92百万円で営業利益が12億53百万円、第2四半期は売上高が359億15百万円で営業利益が18億23百万円、第3四半期は売上高が383億33百万円で営業利益が30億32百万円だった。
修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76%、営業利益が87%、経常利益が88%、親会社株主帰属当期純利益が97%である。高機能材製品の好調によって通期予想に再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年3月末対象、26年3月末対象から一部変更予定
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、一律3000円相当の社会貢献寄付金附きオリジナルクオカードを贈呈している。なお26年3月末対象から内容を一部変更し、継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(継続保有1年以上はクオカード1000円分、継続保有期間3年以上はクオカード3000円分)する。
■株価は上値試す
株価は上方修正を好感して急伸し、18年以来の高値圏だ。依然として指標面に割安感があり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月9日の終値は2779円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS221円31銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の90円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3855円23銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約873億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)




















