シナネンホールディングス、26年3月期営業・経常増益予想で3Q累計順調、非エネルギー拡大が寄与
- 2026/2/19 07:52
- アナリスト銘柄分析

シナネンホールディングス<8132>(東証プライム)は、ビジョンに「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」を掲げ、国内事業基盤再整備およびリテールサービス戦略強化を軸に事業ポートフォリオ変革を推進している。26年3月期は営業・経常増益予想としている。LPガス・石油事業の強化や非エネルギー事業の収益拡大を見込んでいる。第3四半期累計は営業・経常増益と順調だった。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏でのモミ合いから上放れの動きを強めている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループ
同社はグループミッションに「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」、ビジョンに「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」を掲げ、エネルギー関連のエネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)、および非エネルギー事業を展開している。
25年3月期のセグメント別業績(外部顧客への売上高、全社費用等調整前営業利益)は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高が753億35百万円で営業利益が10億19百万円、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高が2204億27百万円で営業利益が20億71百万円、非エネルギー事業の売上高が211億45百万円で営業利益が6億77百万円だった。なお収益特性として、LPガスや灯油の販売は冬場が需要期となるため、収益は下期(特に第4四半期)に偏重する季節特性がある。また売上高は原油価格変動と相関関係が強い。
25年7月には日本格付研究所より信用格付として長期発行体格付「A-」、格付見通し「安定的」、国内CP格付「J-1」が公表された。25年12月には3つの主要なIRサイト表彰において、全ての評価機関より表彰された。具体的には日興アイ・アール「全上場企業ホームページ充実度ランキング」において5年連続5回目の総合部門最優秀サイトを獲得、Gomez「IRサイトランキング」において3年連続3回目の銀賞を獲得、大和インベスター・リレーションズ「大和インターネットIR表彰」で4年連続4回目の優良賞を獲得した。
■エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)はミライフ西日本、ミライフ、ミライフ東日本を中心に、家庭向け・小売事業者向けLPガスなど各種燃料の卸売・小売事業、リフォーム・ガス器具販売などの家庭向けエネルギー周辺事業、家庭向け電力販売事業、都市ガス供給事業、LPガス保安および配送事業などを展開している。エネルギー事業における顧客数の拡大や、住まいと暮らし事業における高付加価値サービスの拡充などにより高収益化を推進するとともに、新規事業創出により事業領域拡大を目指している。
■エネルギーソリューション事業(BtoB事業)
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)はシナネンを中心に、大口需要家向け石油製品・LPガスなど各種燃料卸売事業、ガソリンスタンド運営事業、法人向け電力と家庭向け環境配慮型電力の販売事業、太陽光発電システム販売およびメンテナンス事業、住宅設備機器販売事業、国内外での再生可能エネルギー電源開発事業などを展開している。石油中心から電力・再生可能エネルギーなど総合エネルギーサービスへのポートフォリオ転換を目指し、EV蓄電池事業の開発、国内外での再生可能エネルギー事業展開なども推進している。
■非エネルギー事業
非エネルギー事業は、シナネンサイクルの自転車販売事業(小売店舗「ダイシャリン」および卸売事業)、シナネンモビリティPLUSのシェアサイクル「ダイチャリ」事業、シナネンゼオミックの抗菌事業(銀系無機抗菌剤ゼオライト製造・販売)、ミノスのITシステム事業(国内LPガス・電力小売事業者向け顧客管理システム)、シナネンアクシアの総合建物メンテナンス事業(ビル・病院・集合住宅等の維持・管理・清掃サービスなどメンテナンス事業、23年10月にグループ4社を統合してシナネンアクシアを設立)などを展開している。
シェアサイクル「ダイチャリ」事業は、OpenStreetが提供するシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を活用して、シナネンモビリティPLUSが首都圏1都3県および大阪府を中心に展開している。25年3月期末時点のステーション数は全国4000ヶ所超、設置自転車数は1.4万台超で、国内有数の規模となっている。さらに、高収益エリアでのステーション開拓などにより収益力向上を図るとともに、メンテナンスサービス拡大や新たなモビリティサービスの開発などにより、新たな収益源の創出を推進している。建物維持管理事業は、事業会社の統合によってワンストップサービスを実現し、安定収益の確保と利益率の向上を推進している。
25年12月には、シナネンサイクルの「ダイシャリン」の一部店舗において、次世代型製品を展開するAcalieの電動モビリティ3ブランドの取り扱い・販売を開始した。
また26年2月にはミノスが、CARRO JAPAN(ソフトバンクとTrusty Carsの合弁会社)と、LPガス事業者および関連企業に向けた「GX貢献サービス」の企画・展開に関する共同検討を開始すると発表した。
■創業100周年の28年3月期にROE8%以上を目指す
第3次中期経営計画(24年3月期~28年3月期)では、財務目標として、創業100周年(1927年4月創業)となる最終年度28年3月期にROE8%以上、経常利益100億円を掲げている。株主還元は配当性向30%を目安に、1株当たり年間配当75円を下限とした安定配当を維持し、さらに中期的には配当性向40%への引き上げを目指す。
また非財務目標として、脱炭素社会に対応した事業構造への転換、社員の市場価値の向上を掲げている。脱炭素社会に対応した事業構造への転換では、炭素生産性指標を「売上総利益/GHG排出量」と定め、17年3月期実績2.44に対して28年3月期の目標を2.60としている。より少ないGHG排出量でより多くの利益を創出し、脱炭素社会に対応した事業構造への転換を目指す。具体的な取組として全事業における売上総利益率の改善、サプライチェーン全体でのGHG排出量の削減、バイオエタノール・SAF等の燃料の供給、高効率給湯器等の販売、再生可能エネルギー事業の拡大、再生可能エネルギー電源の調達・供給割合の増加を推進する。社員の市場価値の向上は、会社の企業価値の向上という好循環につなげるため、教育投資や職場環境整備によりエンゲージメント指数の向上(23年3月期実績3.3点、28年3月期目標4.0点以上)などを推進する。
ビジョンの実現に向けた基本戦略としては、成長戦略として事業ポートフォリオの変革、資本効率の改善、経営基盤強化戦略として風土改革・働き方改革のさらなる推進、人財育成の推進や人財適正配置の実現、業務効率化・標準化による生産性向上、グループ経営体制の強化を推進する。既存事業のオーガニック成長に加えて、M&Aも活用して脱炭素社会に寄与する新規事業(再生可能エネルギー、廃棄物資源化、環境負荷が低い新燃料製造・供給、住宅・建物の脱炭素化)で、さらなる成長・収益性向上を図る方針だ。
事業ポートフォリオの変革では、特に国内事業基盤再整備およびリテールサービス戦略強化を成長戦略の軸に据え、成長性や収益性の低い事業の撤退・売却を推進する一方で、電気・環境ソリューション事業やライフクリエイト事業を中心に成長領域を特定して経営資源を集中投下し、新規事業の創出・利益化の実現を目指す。新規領域ではプレミアウォーター社と業務提携して宅配水事業に参入する。28年3月期までの事業ポートフォリオ変革投資額は500億円規模の計画(大型M&Aは別枠)としている。
国内事業基盤再整備では、グループ事業の連携・融合により高品質サービスを提供する体制の構築を目指す。具体的にはグループ事業(特に建物維持管理事業とLPガス事業)を融合させた顧客基盤の構築とメリハリの効いた地域戦略の実行、LPガス・石油(軽油・灯油)の物流網を活かした広域同業他社との協業推進、グループのメンテナンス事業網の全国展開と高品質サービスの提供、既存事業の選択と集中などを推進する。リテールサービス戦略強化では、エネルギー会社からサービス会社へと意識を変革し、エリアに適したサービスの提供により、それぞれのエリアにおける生涯顧客の獲得を目指す。また新規事業の創出では、脱炭素・再生可能エネルギー事業を中心に、季節に依存しない事業への取組を強化し、新たな収益源の創出を目指す。
なお事業ポートフォリオ変革に向けて、第3次中期経営計画期間中にセグメント区分を石油・ガス事業、ライフクリエイト事業(リフォームや給湯器等の住まいと暮らし事業、自転車事業、シェアサイクル事業、抗菌事業、システム事業、建物維持管理事業等)、電気・環境ソリューション事業(電力事業、バイオマス燃料事業、および再生可能エネルギーや廃棄物資源化等の新規事業)に変更予定である。そして28年3月期の売上総利益構成比の計画(イメージ)は、石油・ガス事業が53%、ライフクリエイト事業が33%、電気・環境ソリューション事業が14%(23年3月期実績は石油・ガス事業が69%、ライフクリエイト事業が29%、電気・環境ソリューション事業が2%)としている。
■連結子会社の事業再編
事業ポートフォリオ変革に向けて25年5月に連結子会社の事業再編を発表した。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)を展開するミライフ西日本、ミライフ、ミライフ東日本、およびエネルギーソリューション事業(BtoB事業)を展開するシナネンの4社を26年4月1日付で統合(新社名はシナネン)する。
そして26年1月に事業再編方式(効力発生日26年4月1日予定)を発表した。シナネンはホームファシリティ事業をシナネンアクシアに吸収分割する。ミライフは電力事業、建設業工事、不動産仲介事業を除く全ての事業をシナネンに吸収分割した後、電力事業および建設事業等を行う会社として商号をシナネンエナジーテックに変更し、26年度中にシナネンの子会社とする。また26年4月1日付で不動産仲介事業をシナネンアクシアへ移管する。ミライフ東日本は電力事業をミライフに吸収分割した後、電力事業を除く全ての事業をシナネンに吸収合併する。ミライフ西日本は全ての事業をシナネンに吸収合併する。ミライフ北海道は全ての事業をシナネンに吸収合併する。
また26年1月には、廃棄物処理事業等を展開するシナネンエコワークの全株式について、KPPグループホールディングスの連結子会社である国際紙パルプ商事に譲渡(26年3月2日予定)すると発表した。26年2月には、空調設備工事等を展開するシナネンファシリティーズの全株式について、ユアサ商事の連結子会社であるユアサクオビスに譲渡(26年4月1日予定)すると発表した。なおシナネンファシリティーズが行っている環境事業についてはシナネンに吸収分割する。
■サステナビリティ経営
サステナビリティ経営関連では、持続可能な社会の実現に向けて20年10月より森の豊かさを守る「シナネンあかりの森プロジェクト」に取り組んでいるほか、22年5月にサステナビリティ基本方針を策定してサステナビリティ推進委員会を設置した。22年6月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に対する賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに参画した。25年10月にはミライフが東京都とグリーン水素等の国際サプライチェーン構築に向けた共同検討に関する協定書を締結した。
また風土改革と働き方改革の一環として、23年4月には副業制度、70歳までの再雇用制度、育児休業中の学習支援、自己都合退職者再雇用制度、治療と仕事の両立支援という5つの人事制度を新たに導入、24年4月には社内ベンチャー制度、ベビーシッター割引券配布制度、ウェルネス休暇制度、短時間勤務制度の拡充という4つの人事制度を新たに導入した。25年3月には同社およびグループ5社が、経済産業省と日本健康会議が選出する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定された。同社は3年連続、グループ5社は2年連続の認定となる。
■26年3月期営業・経常増益予想で3Q累計順調
26年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比15.8%増の3673億円、営業利益が9.7%増の44億円、経常利益が9.3%増の49億円、親会社株主帰属当期純利益が4.9%減の30億円としている。配当予想は前期と同額の90円(期末一括)としている。予想配当性向は32.6%となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比3.3%減の2036億98百万円、営業利益が13.9%増の20億03百万円、経常利益が11.7%増の25億60百万円、親会社株主帰属四半期純利益が11.4%減の9億71百万円だった。
全体として営業・経常増益だった。BtoB事業は電力事業の収益性低下により減益だったが、BtoC事業の収益性が改善したほか、非エネルギー事業のシェアサイクル事業や総合建物メンテナンス事業が好調だった。なお特別損失に特別退職金7億42百万円を計上した。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は売上高(外部顧客への売上高)が3.4%減の470億46百万円、営業利益(全社費用等調整前)が167.2%増の2億36百万円だった。売上高はLPガス仕入価格低下に伴う売上単価低下で小幅減収だが、利益面は北海道・東北エリアにおける灯油販売の好調などにより大幅増益だった。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は売上高が4.3%減の1399億28百万円、営業利益が38.1%減の7億06百万円だった。減収減益だった。売上面では重油の需要減少・原油価格低下が影響し、利益面では電力事業の収益性低下が影響した。
非エネルギー事業は、主にシェアサイクル事業と総合建物メンテナンス事業の好調により、売上高が6.6%増の165億67百万円、営業利益が104.4%増の8億27百万円だった。シナネンモビリティPLUSのシェアサイクル「ダイチャリ」事業は、25年12末現在の設置自転車数が1.5万台を超える規模となり、利用件数も順調に推移した。シナネンアクシアの総合建物メンテナンス事業は、集合住宅の建物メンテナンス業務のエリア拡大が寄与したほか、斎場・病院などの施設運営業務が堅調に推移した。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が631億53百万円で営業利益が7億26百万円、第2四半期は572億68百万円で営業利益が31百万円の損失、第3四半期は売上高が832億77百万円で営業利益が13億08百万円だった。ガス販売量は夏季が不需要期、冬季が需要期という季節要因がある。
通期の連結業績予想は据え置いて営業・経常増益予想としている。前期のスポット取引の反動減があるものの、主力のLPガス・石油事業の強化や非エネルギー事業の収益拡大を見込んでいる。
通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が55%、営業利益が46%、経常利益が52%、親会社株主帰属当期純利益が32%と低水準の形だが、冬場が需要期のため下期の構成比が高い収益特性がある。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価はモミ合い上放れの動き
なお26年2月10日付で、自己株式取得(上限10万株または5億円、取得期間26年2月12日~26年7月31日)および消却(予定日未定)を発表した。
株価は戻り高値圏でのモミ合いから上放れの動きを強めている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月18日の終値は6820円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS275円75銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の90円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS5075円05銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約753億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)




















