クリナップは戻り歩調、18年3月期2桁営業増益予想で低PBRも見直し

 クリナップ<7955>(東1)はシステムキッチンの大手で、システムバスルームも展開している。原価低減効果も寄与して18年3月期2桁営業増益予想である。また中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を目指している。株価は戻り歩調だ。0.6倍近辺の低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。

■システムキッチンの大手でシステムバスルームも展開

 システムキッチンの大手である。厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。なお収益は新設住宅着工件数やリフォーム需要の影響を受けやすい特性がある。

 17年3月期の部門別売上高構成比は厨房部門79%、浴槽・洗面部門16%、その他5%、販売ルート別売上高構成比(単体ベース)は一般ルート(工務店・リフォーム)79%、ハウスメーカー16%、直需(マンション)5%である。
■中期経営計画で「ザ・キッチンカンパニー」目指す

 中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を目指し、重点施策として中高級品の販売強化、リフォーム市場で競争優位となる商品の開発、ショールームを核とした販売戦略の推進、サプライチェーン全体での原価低減活動の強化、設備投資およびコストの最適化などを推進している。

 ショールームを核とした販売戦略の推進では、3旗艦&全国ショールーム102拠点体制で、ショールームを顧客接点の要、地域に根差したブランド戦略の重要拠点、リフォーム需要取り込みの最重要拠点と位置付けて、集客を強化するためリニューアルと生活提案型ショールームへの転換を進めている。ショールームのリニューアルは12年3月期から17年3月期の6期合計で66ヶ所を実行し、17年3月期には中部圏の旗艦ショールーム「クリナップ・キッチンタウン・名古屋」を新設した。

 生産面では16年7月クリナップ岡山工業(17年4月吸収合併)津山工場のプレスラインが本格稼働し、東日本の福島県・いわき事業所と合わせて生産拠点の二極化体制が整った。

 海外展開は中国、台湾、シンガポール、マレーシア、タイなどに展開している。中国にはハウスメーカーと共同進出してキッチン等を供給している。

■17年3月期は原価低減効果などで大幅増益

 前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比0.7%減の1136億61百万円、営業利益が同76.1%増の19億89百万円、経常利益が同2.1倍の17億95百万円、純利益が同3.9倍の13億39百万円だった。

 リフォーム需要が低調で微減収だったが、原価低減効果や販管費低減効果などで大幅増益だった。売上総利益は同0.4%減少したが、売上総利益率は32.5%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同2.8%減少し、販管費比率は30.8%で同0.6ポイント低下した。

 特別利益では厚生年金基金解散損失引当金戻入額3億17百万円を計上した。ROEは2.5%で同1.9ポイント上昇、自己資本比率は62.4%で同2.6ポイント低下した。配当は前々期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。配当性向は59.6%である。

 部門別売上高は厨房部門が同0.5%減の893億36百万円、浴槽・洗面部門が同2.7%減の179億76百万円、その他が同2.0%増の63億48百万円だった。

 厨房部門のシステムキッチン「S.S.」は数量・金額とも増加、「クリンレディ」は数量・金額とも減少、「ラクエラ」は数量・金額とも減少した。浴槽・洗面部門のシステムバスルーム「アクリアバス」は数量・金額とも減少、「ユアシス」は数量・金額とも減少、洗面化粧台は数量・金額とも増加した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期275億26百万円、第2四半期292億21百万円、第3四半期297億30百万円、第4四半期271億84百万円、営業利益は5億20百万円、7億22百万円、12億79百万円、5億32百万円の赤字だった。

■18年3月期も2桁営業増益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月9日公表)は売上高が前期(17年3月期)比2.1%増の1160億円、営業利益が同15.6%増の23億円、経常利益が同17.0%増の21億円、純利益が同0.8%増の13億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。予想配当性向は54.2%となる。

 部門別売上高の計画は、厨房部門が同1.7%増の908億46百万円、浴槽・洗面部門が同3.5%増の179億76百万円、その他が同3.1%増の65億43百万円としている。

 会員登録制組織「水まわり工房」加盟店や流通パートナーと連携してリフォーム需要を喚起し、流レールシンクを標準装備したシステムキッチン「S.S.」「クリンレディ」などの中高級品を中心に拡販を強化する。原価低減効果や業務効率化も寄与して2桁営業増益予想である。

■株価は戻り歩調、低PBRも見直して上値試す

 株価の動きを見ると、4月の年初来安値780円から切り返して戻り歩調だ。6月16日には前日比55円(6.48%)高の904円まで上伸し、戻り足を速める形となった。

 6月16日の終値904円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS36円89銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1437円82銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約338億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線を一気に突破した。強基調への転換を確認した形だ。0.6倍近辺の低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る