【編集長の視点】地域新聞社はもみ合いもM&Aに1Q好決算が続き割安修正余地

編集長の視点

地域新聞社<2164>(JQG)は、4円高の618円と続伸して始まったあと、18円安と下ぶれるなど、今年2月9日につけた昨年来高値650円を前にもみ合いを続けている。高値圏で目先の利益を確定する売り物が交錯しているものだが、同社は、昨年12月19日に東京新聞ショッパー社(東京都千代田区)の全株式を取得して連結子会社化したのに続き、同12月26日には今8月期第1四半期(1Q)の好決算を発表、さらに業績上ぶれ期待を高めており、下値では割安修正への打診買いも続いている。

■営業エリアは重複せずフリーペーパ-の合計発行部数は4割も増加

東京新聞ショッパー社(社名変更してショッパー社)の子会社化は、1963年に設立され東京都、神奈川県、埼玉県の首都圏でフリーペーパーを82万部発行している同社と千葉県、埼玉県で地域新聞を204万部発行する地域新聞社とが双方の顧客基盤、編集・営業ノウハウを融合させて企業価値を向上させることを目的としており、両社の営業エリアが重複しないことから発行部数は、4割増となり、前2014年12月期の売り上げが7億7100万円となったショッパー社の業績が即上乗せとなってくる。

一方、1Q業績は、前年同期比8.1%増収、16.7%経常増益、32.4%純益増益と続伸し、期初予想の第2四半期(2Q)累計業績に対して経常利益は、94%と目安の50%を上回る高利益進捗率を示し、純利益は、すでに300万円上回って着地した。折込チラシ配布事業が、大手新聞の一般家庭での購読率低下で逆に取引顧客が増加しており、地図情報システムを活用したサービスに引き合いも増え、販売促進総合事業も伸びたことが要因となった。

2Q累計業績・8月通期業績は期初予想を据え置き、8月通期業績は、売り上げ30億4100万円(前期比3.6%増)、経常利益1億7100万円(同2.4%増)、純利益1億円(同6.1%増)と見込んでいるが、1Qの高利益進捗率業績やショッパー社の業績寄与などで上ぶれ期待を高めている。なお同社の配当は、普通配当を前々期の10円から前期に12.5円に引き上げ、創業30周年の記念配当2.4円を上乗せして年間15円に増配したが、今期は、記念配当は一巡するが、普通配当は前期の12.5円から13.5円に連続増配する。

■PERは10倍台、配当利回りは2.2%と割安で分割権利落ち前高値目指す

株価は、1株純資産486円水準からM&Aと1Q好決算が続いたことで昨年来高値まで38%の急伸を演じ高値調整中だが、PERは10倍台、配当利回りも2.2%と割安である。新規株式公開直後につけた上場来高値23万5000円は、2011年2月末割り当てで実施した株式分割(1対200)を換算すると1175円となり、分割権利落ち後高値圏にあるここからは中期上値ターゲットとして意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る