【編集長の視点】セルシードは一昨年来高値を再更新、今期の黒字転換予想業績を再評価し積極的な中期経営計画がフォロー

 セルシード<7776>(JQG)は、前週末23日に49円高の834円と3日ぶりに急反発して引け、取引時間中には879円まで買い進まれ、今年2月20日につけた一昨年来高値857円を再更新した。同社株は、今年2月14日に12月期決算を発表、前期業績が期初予想を上ぶれて着地したことに加え、今2018年12月期業績について上場来初の黒字転換を予想したことを業績の離陸期入りと再評価して再生医療のテーマ株買いが再燃した。東海大学と共同開発中の軟骨再生シートについて今期中に治験開始を予定するなど、中期経営計画でさらに黒字幅拡大を目標にしていることも、支援材料視されている。

■軟骨再生シートは今期中に治験開始を予定し食道再生上皮シートは2019年中に販売承認

 同社の前2017年12月期業績は、細胞シート再生医療事業の薬事準備費用などの支出時期が一部次期にズレ込んだことから、利益が期初予想より2億2600万円~2億6400万円上ぶれ赤字幅を縮小させた。続く今2018年12月期業績は、売り上げを11億7000万円(前期実績は8500万円)と大幅増収転換するとともに、営業利益2000万円(同10億2400万円の赤字)、経常利益5000万円(同9億6400万円の赤字)、純利益4000万円(同9億6600万円の赤字)と黒字転換を見込んでいる。

 患者数が1000万人に達するとも推定される変形性膝関節症患者向けの軟骨再生シートの今期中の治験開始を予定しているほか、昨年3月に台湾での細胞シート再生医療の独占的事業契約をMetaTech社(台湾・新北市)と締結したことにより、今後複数年にわたり総額12億5000万円の売り上げを計上することなどが要因となる。

 同社は、この軟骨再生シート開発に加えて、2016年4月に国立がん研究センター、東京女子医科大学病院などで治験を開始し、昨年2月に優れた医薬品や医療機器の審査期間を短縮する厚生労働省の再生医療等製品の「先駆け審査指定制度」の対象品目の指定を受けた食道再生上皮シートを2019年中の販売承認取得を目指すなど自社バイプラインの開発を加速させ、海外事業も台湾のほかアジア諸国・欧米をターゲットに年間1件程度の提携先獲得を目標とするなどの積極的な3年間の中期経営計画を策定した。最終年度の2020年12月期には、売り上げ14億5000万円、営業利益1億1000万円、経常利益1億1000万円、純利益1億円を目標としている。

■3日連続ストップ高の逆行高特性を発揮し次の上値目標は2015年1月高値1080円

 株価は、昨年9月のMetaTech社からの入金開始と細胞シート移植用デバイスのEC(欧州連合)認証取得が続いて522円高値をつけ、前期第3四半期の赤字継続業績が響いて436円安値へ下ぶれたが、年明け後に同業他社が動物薬のEC承認取得を受けて急伸しバイオ株買いが高まり606円高値まで急伸した。同高値から世界同時株安に巻き込まれて459円安値まで再調整したが、好決算・中期経営計画発表とともに3日連続のストップ高を交えて一気に9割高の急伸を演じ、昨2017年2月高値684円、2016年4月高値842円の上値フシを次々に上抜いた。全般相場の先行きが、米国の長期金利動向などを窺いなお不安定に推移する懸念が強いなか、逆行高特性のあるバイオ株人気を拡大させ、テクニカル的な次の上値フシとして015年1月につけた1080円高値が浮上しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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