【編集長の視点】加賀電子は50億円ファンドのM&Aが相次ぎ予想業績開示を催促し反発

加賀電子<8154>(東1)は、前日18日に24円高の2039円と反発して引け、日経平均株価が、100円安と続落するなか逆行高した。同社株は、50億円ファンドによるM&Aが、今年6月に入っても旭東電気(大阪市旭区)、ニューロシューティカルズ(東京都文京区)と続き車載関連機器や医療機器向けのEMS(電子部品製品の開発・生産の受託サービス)ビジネスを強化しており、今年5月21日に決算発表時に未定としていた今2021年3月期予想業績への期待を高めて早期開示を催促するバリュー株買いが再燃した。とくに今期業績では、今年4月1日に子会社化した電子部品商社のエクセル関連の負ののれん発生益の寄与が注目されサプライズ材料視されている。

■今2021年3月期はエクセルののれん発生益だけで82億円上乗せ

 50億円ファンドは、創業50周年を記念して設定され、2018年3月期からユニークな技術・製品やビジネスモデルを展開するベンチャー企業に投資し、加賀電子の持続的成長を支える新規事業創出につなげており、出資企業は、宇宙分野やクラウドサービス関連、テレワーク関連まで広範囲に及んでいる。今年6月も、まず民事再生手続を開始した旭東電気と再生スポンサー契約を締結し、同社の展開している車載関連機器やベトナム工場との連携を強め、医療機器製品やアプリケーションを開発するニューロシューティカルズとは重要コンポーネントの開発を積極化する。

 またこれとは別に電子商社業界トップを目指し同業の富士通エレクトロニクスとエクセルを大型買収し、富士通エレクトロニクスの子会社化では、前2020年3月期の売り上げが、前々期比51%増と大きく伸び、利益も上方修正され2ケタ増益となり、エクセルのグループ会社化でも、とくにEV(電気自動車)関連分野を取り込み、こののれん発生益を今2021年3月期に約82億円計上する予定である。

 一方、今2021年3月期業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を合理的に算定することは困難として未定としている。ただエクセルの負ののれん発生益計上や中期経営計画で最終年度の2022年3月期の目標業績を売り上げ5000億円、営業利益130億円としていることから続伸が期待される。市場コンセンサスでは、今期純利益を150億円(前期比2.56倍)とも観測されており、早期の予想業績開示を催促している。

■年初来安値からの上昇幅の3分の1押し水準を固め昨年12月高値に再挑戦

 株価は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)による世界同時株安に巻き込まれて年初来安値1481円へ大幅調整し、売られ過ぎ修正で底上げし相次ぐM&Aや前期業績の2回目の上方修正・増配などが追撃好材料となって2402円まで62%高し、足元ではこの底上げ幅の3分の1押し水準を固めている。昨年12月高値2714円の絶対期日も一巡し、PBRは0.71倍と割り負け、PERも前期実績ベースで9.59倍となっており、昨年12月高値に向け再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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