【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ASIANSTAR急反落したが売られ過ぎ感、財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価

銘柄分析

 ASIANSTAR(エイシアンスター)<8946>(JQS)(15年4月1日付で陽光都市開発から商号変更)の株価は、戻り高値圏から急反落したが売られ過ぎ感を強めている。財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して反発のタイミングだろう。

 15年4月1日付で陽光都市開発からASIANSTAR(エイシアンスター)に商号変更した。

 投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへの事業構造転換を推進した。13年8月にアパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約締結、13年10月にストライダーズ<9816>と資本業務提携した。

 11年12月に上海徳威グループと資本提携し、安定的で堅実な収益体系が構築できたとして、中国での不動産関連事業(サービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業)へ進出した。

 14年2月に香港柏雅、および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)のベルグラビアグループを連結子会社化(上海柏雅投資管理は14年6月売却)し、7月には香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立した。11月には15年後半に開業予定の世界有数の大型テーマパークから約5km圏内に位置する上海市周浦エリアにおいて、周浦印象春城サービスアパートメント1棟(220戸)の管理受託契約を締結した。12月には陽光智寓(香港)が中国上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立した。

 さらに一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、15年2月に新規事業「リゾート開発事業」の開始を発表した。

 日本国内で約70ヶ所合計約46万坪の事業用地を取得し、ログハウスを開発・建設して日本国内および海外セカンドハウス・移住者向け住宅として販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として賃貸する事業を計画している。事業運営は連結子会社の合同会社TYインベスターズ(15年2月設立)が行う。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月16日公表)は売上高が前期比33.2%減の14億44百万円、営業利益が同55.6%減の67百万円、経常利益が同66.2%減の59百万円、純利益が同65.4%減の47百万円としている。不動産管理事業では管理戸数が順調に増加するが、前期の収益を押し上げた不動産販売事業の大型案件が一巡したため大幅減収減益見込みとしている。

 今期は大幅減収減益見通しだが、中期的には不動産管理事業の安定収益に加えて、不動産販売事業、新規リゾート開発事業、そして中国での不動産関連事業の拡大も寄与して収益改善基調が期待される。

 財務面では、徳威企業発展有限公司(上海)とストライダーズによる当社新株予約権行使などで14年12月末の自己資本比率46.7%、1株当たり純資産(BPS)72円12銭となり、13年12月末の自己資本比率9.0%、BPS19円92銭に対して財務基盤が大幅に改善している。

 また2月20日発表の第三者割当増資(徳威国際発展有限公司210万株、香港富心国際有限公司77万株の合計287万株、発行価額1株230円)について、3月27日に払込完了を発表した。調達資金(差引手取概算額)約6億52百万円は借入金返済、新規事業用地取得後の諸費用、新規事業における開発資金に充当する。なお増資後の発行済株式総数は1600万8200株となった。

 株価の動きを見ると、3月31日の戻り高値256円から急反落して、4月20日には211円まで調整した。利益確定売りが優勢になったようだが売られ過ぎ感も強めている。1月の直近安値200円に接近して調整の最終局面だろう。

 4月20日の終値211円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想に増資を考慮した連結EPS2円94銭で算出)は72倍近辺、前期実績PBR(前期実績に増資を考慮した連結BPS59円09銭で算出)は3.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて52週移動平均線も割り込む動きだ。ただし日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して反発のタイミングだろう。

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