Jトラスト:ビットコイン事業、内外で活性化と新ビジネスの創出

■BTCへ資金・人的資源投入~両社企業価値の向上へ

Jトラスト<8508>(東2)は4月27日、国内でビットコイン取引所を運営するBTCボックス株式会社の第三者割当増資(2億円)を引き受け、BTCボックスを同社の持ち分法適用会社にすることを発表した。(写真は藤澤信義社長)

同社グループは、国内最大のライツオファリングで約967億円を調達し、その資金力で韓国・インドネシアの銀行を買収、国内外にリアル店舗網等の金融インフラ、人的・物的ネットワークなど様々な金融ノウハウを蓄積するなど、内外での事業展開を積極的に行い、着実に事業展開の多様化を図っている。

そうした経営基盤強化、充実に取り組む過程で今回、新事業であるビットコインマーケットへの参画は、多方面から注目されるところである。

我が国でのビットコイン市場は一時盛り上がりを見せたものの、先般の「マウントゴックス社の破綻」騒動を契機に、ビットコイン取引所へ信頼低下が響き、国内の取引所は4社しかなく、しかも取引状況はBTCボックス社の独占状態の停滞が続いている。このような状況下で、同社がBTCボックス社を傘下にした意図を両社社長の会見から拾ってみた。

■ビットコインの特性フル活用、既存サービスアップ~新ビジネスへ

同社藤澤社長は、ビットコインの特徴を、「1)発行量の上限が決まっている、2)世界中の誰から、誰にでも、即時にほぼ無料で送金できる、3)発行者が存在しない、インターネット上の仮想通貨である。」と説明し、この特徴こそが、「既存の通貨にはない新しい価値を生み、国際間の決済システムを一変させる可能性を持った、先進的な通貨だ」と位置付けた。

また、BTCボックス社について、「ビットコインの売り手と買い手を結びつける役割を担う取引所を営み、しかも、ビットコイン取引のインターネット上のシステムの全てを自社で構築するなど、安定的に運用する優れた技術力を強味とする企業である。」と紹介し、協業の狙いと今後の展望を「内外でのビットコイン取引所事業の拡大、ビットコインを活用した新ビジネスの創出をはじめ、BTCボックスへの資金、人的資源の提供を通じ、双方の企業価値を向上させたい。」と語った。

■重点施策を実施:国内市場の活性化と新興国対応で

今後の具体的取り組みについては、1)国内のビットコイン決済圏の確立、2)海外取引所の開設、3)新興国における新たな決済手段の創設、を挙げ、さらに、同社の既存サービスにビットコインの仕組みを組み込むなど、様々なサービスの創出を図る模様である。

【国内のビットコイン決済圏の確立】では、同社の持ち分会社化で、財務基盤強化、コンプライアンス体制の確保など、経営に対する一定の信頼が得られること、同社の各種サービスにビットコイン決済を進め「ビットコイン決済圏を早期に確立」し、国内のビットコイン取引の活性化を進める。

【海外取引所の創設】については、近年の通貨危機の影響で新興国などで自国通貨の代替えへの期待、海外送金に制限のある新興国での海外決済、海外居住者の送金などで、ビットコインの特性(安価・即時決済)を活かしたサービスへの潜在需要が多いから、東南アジアの新興国に取引所開設、国際間決済サービスで新ビジネスモデルの構築を行う。

【新興国の新決済手段の創設】では、新興国は、スマホなど利用したインターネット環境は進んでいる反面、銀行口座を持たないために金融サービスが受けられない人々が多い。ビットコインはP2P決済であり口座なし送金ができるから、同社グループのリテールファイナンスのノウハウを活用した金融サービス提供で、埋もれたファイナンス市場獲得を目指す。

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