JSPは21年3月期3Q累計減益だが通期予想上方修正、さらに上振れ余地

(決算速報)
 JSP<7942>(東1)は1月29日の取引時間終了後に21年3月期第3四半期累計の連結業績を発表した。新型コロナウイルスの影響で減収減益だったが、通期予想を上方修正した。従来予想に対して減収減益幅が縮小する見込みだ。営業利益と経常利益は3回目の上方修正である。需要が回復基調であり、さらに上振れ余地がありそうだ。株価は戻り一服の形だが着実に下値を切り上げている。上方修正を好感して出直り本格化を期待したい。

■21年3月期3Q累計減益だが需要回復基調で通期予想を上方修正

 21年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比11.0%減の761億45百万円、営業利益が6.3%減の40億38百万円、経常利益が4.9%減の41億52百万円、純利益が7.5%減の30億58百万円だった。

 累計ベースでは全体として減収減益だった。新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で、ビーズ事業の自動車分野を中心に需要が減少した。押出事業は需要減少で4.4%減収だが、生産合理化効果で21.6%増益だった。ビーズ事業は需要減少と生産活動などで14.4%減収、21.0%減益だった。

 なお四半期別の営業利益は、第1四半期が9億16百万円、第2四半期が3億68百万円、第3四半期が27億54百万円だった。第3四半期に自動車分野の需要が急回復した。

 通期連結業績予想は上方修正(12月14日の修正値に対して売上高を13億円、営業利益を7億円、経常利益を8億円、純利益を5億円、それぞれ上方修正)して、売上高が20年3月期比10.7%減の1013億円、営業利益が9.5%減の46億円、経常利益が9.8%減の47億円、純利益が67.0%減の12億円とした。

 欧州や中国の自動車向けピーブロックの需要が想定以上に拡大し、国内でもFPD保護材用途などが好調に推移する見込みだ。営業利益と経常利益は3回目の上方修正である。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.2%、営業利益が87.8%、経常利益が88.3%、純利益が254.8%である。第4四半期に欧州子会社の資金流出に係る特別損失を計上する見込みだが、需要が回復基調であり、営業利益と経常利益は4回目の上振れ余地がありそうだ。

■株価は出直り期待

 株価は小動きで戻り一服の形だが着実に下値を切り上げている。上方修正を好感して出直り本格化を期待したい。1月29日の終値は1691円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS40円26銭で算出)は約42倍、時価総額は約531億円である。

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