【注目銘柄】佐藤商事はプライム市場上場基準不適合で下ぶれも業績上場修正を買い直し

注目銘柄

■下値は買い場として押し目買いが増勢

 佐藤商事<8065>(東1)は、今年8月5日に来年4月からスタートする東証の市場再編に関して、最上位市場のプライム市場(P市場)の上場基準に1部不適合と発表して株価が下ぶれたが、今年7月30日に開示した今2021年3月期業績の上方修正からは下値はむしろ買い場として押し目買いが増勢となった。P市場についても、適合計画書を東証に提出し経過措置により上場を目指すとしていることも補足材料として評価されている。

■基準不適合は数少ない売買代金で株高政策発動への期待は大

 P市場への上場基準は、流動性基準として株主数、流通株式数、流通株式時価総額、流通株式比率、売買代金などに細かい決まりがあり、東証第1部上場会社では約3割がこの上場基準に不適合と一次判定された。この多くが、流通株式比率や流通株式時価総額への不適合となっているが、佐藤商事は、1日平均の売買代金が2000万円以上となっている売買代金が不適合と判定された。同社は、「適合計画書」を作成して東証に提出し、経過措置としてのP市場上場を選択するとともに、売買代金の増加を推進する。同社が、中期経営計画で海外売り上げ比率を14.8%から20%に引き上げ、非鉄、電子材料などの新商材の拡販を進め、株価も、トラック株連動性から全方位連動性を強めると想定されることなどからすれば、上場基準クリアは、それほど難しくはないとみられている。

 その同社の今2022年3月期業績は、今年7月30日に上方修正されたばかりである。期初予想より売り上げを50億円、営業利益を5億円、経常利益を6億円、純利益を3億円それぞれ引き上げ、売り上げ2050億円(16.8%増)、営業利益42億円(同50.2%増)、経常利益46億円(同37.4%増)、純利益33億円(同18.5%増)と増収増益転換率を拡大し、純利益は、2006年3月期の過去最高(33億9300万円)に肉薄する。鋼材専門商社として自動車の商用車や建設機械の生産が回復し鋼材需要が好調に推移していることが寄与する。今期配当も、年間48円(前期実績43円)に増配を予定している。

■PER7倍台、PBR0.5倍、配当利回り3.9%とバリュー株妙味

 株価は、前期上半期のコロナ禍による自動車・建設機械の生産停滞で業績が伸び悩み800円台の低位推移となったが、生産回復による昨年11月、今年2月と前期業績の2回の上方修正で1000円大台に乗せ、今期業績の増収益転換・増配予想に今年7月の今期業績の上方修正が続き年初来高値1247円まで買い進まれ、P市場基準不適合開示で下ぶれた。PERは7倍台、PBRは0.55倍、配当利回りは3.96%とバリュー株妙味満載であり、年初来高値抜けから次の上値フシとして2018年6月高値1519円にチャレンジしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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