シナネンホールディングスは22年3月期3Q累計減益、通期予想据え置き

(決算速報)
 シナネンホールディングス<8132>(東1、新市場区分プライム)は1月31日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。収益認識基準適用、LPガス・灯油販売の天候要因による需要減少、電力調達コストの上昇、自転車販売事業や抗菌事業における特需の反動減、販管費の増加などの影響で大幅減益だった。通期予想は据え置いた。新規事業に係る先行投資やIT投資などで減益予想としている。23年3月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から反落して水準を切り下げている。目先的には第3四半期累計の減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、概ね織り込み済みであり、下値は限定的だろう。

■22年3月期3Q累計大幅減益、通期減益予想据え置き

 22年3月期第3四半期累計連結業績(収益認識基準適用)は、売上高が1827億19百万円、営業利益が6億02百万円、経常利益が10億87百万円、親会社株主帰属四半期純利益が4億90百万円だった。収益認識基準適用の影響としては、売上高が78億12百万円減少、売上原価が77億18百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ94百万円減少した。

 前年同期は売上高が1389億69百万円、営業利益が16億15百万円、経常利益が16億86百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7億54百万円だった。収益認識基準適用の影響を考慮せずに単純比較すると、原油価格高騰に伴う販売単価上昇などで増収だが、LPガス・灯油販売の天候要因による需要減少、電力調達コストの上昇、自転車販売事業や抗菌事業における特需の反動減、販管費の増加などの影響で大幅減益だった。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、春先と晩秋を中心に平均気温が前年と比べて高かったためLPガス・灯油の販売数量が低調だったが、原油価格高騰に伴って販売単価が上昇した。利益面では仕入価格上昇に伴う販売価格への転嫁や棚卸資産の在庫影響などで好調だった。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、石油事業で前年を上回る販売数量を確保し、原油価格高騰に伴って販売単価が上昇したが、利益面は電力調達コストの上昇や販管費の増加などで低調だった。

 非エネルギー事業・海外事業では、シナネンサイクルの自転車販売が前年の特需の反動減、部品メーカーの供給不足、海外輸送費や原材料価格の高騰、為替の円安などで低調だった。シナネンモビリティPLUSはシェアサイクル「ダイチャリ」の拠点開発を推進して順調だった。期末ステーション数は2100ヶ所超、設置自転車台数は8200台超となった。シナネンエコワークの環境・リサイクル事業は取引高が好調に推移した。シナネンゼオミックの抗菌事業は感染症拡大による抗菌需要が一段落し、売上原価も上昇した。ミノスのシステム事業は電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が大幅に伸長した。建物維持管理事業(タカラビルメンなど)は、マンション等の定期管理業務が安定的に推移し、医療施設の感染消毒清掃の新規受注も増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高493億59百万円、営業利益4億17百万円、経常利益5億78百万円、第2四半期は売上高511億59百万円、営業利益4億59百万円の赤字、経常利益2億55百万円の赤字、第3四半期は売上高822億01百万円、営業利益6億44百万円、経常利益7億64百万円だった。なおLPガス・灯油販売は冬場が需要期となる。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が21年3月期比12.4%増の2440億円、営業利益が28.5%減の21億円、経常利益が43.8%減の17億円、親会社株主帰属当期純利益が44.8%減の15億円としている。配当予想は21年3月期と同額の75円(期末一括)である。

 売上面は原油価格高騰に伴う販売価格上昇などを考慮して増収予想だが、新規事業に係る先行投資や経営基盤整備に向けたIT関連投資を積極推進するため減益予想としている。収益認識基準適用の影響は通期ベースでは軽微としている。なお固定資産譲渡に関して、B土地の譲渡益21億円を23年3月期第1四半期の特別利益に計上予定である。23年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から反落して水準を切り下げている。目先的には第3四半期累計の減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、概ね織り込み済みであり、下値は限定的だろう。1月31日の終値は3025円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円73銭で算出)は約22倍、時価総額は約395億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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