JSPは22年3月期3Q累計増収増益だが通期予想を下方修正

(決算速報)
 JSP<7942>(東1、新市場区分プライム)は1月31日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。第3四半期累計は需要回復や高付加価値製品拡販などで増収増益だったが、通期予想を下方修正し、従来の営業増益予想から一転して営業減益予想とした。半導体などの部品供給不足による納入遅延や原燃料価格の高騰などが影響する見込みだ。23年3月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍くモミ合い展開だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値は限定的だろう。

■22年3月期3Q累計増収増益だが、通期は下方修正して営業減益予想

 22年3月期第3四半期累計連結業績(収益認識基準適用、利益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比11.8%増の851億28百万円、営業利益が6.4%増の42億99百万円、経常利益が8.3%増の44億97百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.6%増の32億90百万円だった。

 なお収益認識基準適用の影響額として、売上高が12億56百万円減少、売上原価が11億73百万円減少、販管費が56百万円減少、営業利益が26百万円減少、経常利益と税金等調整前四半期純利益がそれぞれ6百万円減少している。

 自動車分野を中心とする需要回復、ピーブロックを中心とする高付加価値製品の拡販、製品価格改定などで、原料価格高騰の影響を吸収して増収増益だった。特別損失には韓国の連結子会社における火災による損失1億28百万円を計上している。

 押出事業は売上高が2.9%増の294億17百万円で、営業利益が9.7%増の24億06百万円だった。食品トレー向けが巣ごもり特需の反動で減少したが、産業資材製品の高付加価値製品が大幅伸長し、製品価格改定も寄与して原料価格高騰の影響を吸収した。

 ビーズ事業は売上高が16.1%増の509億11百万円で営業利益が2.0%減の24億96百万円だった。売上面は自動車分野を中心に需要が回復し、ピーブロックの自動車分野での新規採用拡大などで高機能材製品の売上が拡大した。利益面では製品価格改定を進めたが、原料価格高騰の影響をカバーできず小幅減益だった。

 その他は売上高が29.7%増の47億99百万円で、営業利益が3.0倍の1億51百万円だった。自動車部品輸送関連などの需要が回復した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高269億82百万円で営業利益15億67百万円、第2四半期は売上高286億91百万円で営業利益14億18百万円、第3四半期は売上高294億55百万円で営業利益13億14百万円だった。

 通期連結業績予想は下方修正して売上高が21年3月期比10.1%増の1130億円、営業利益が9.4%減の47億円、経常利益が11.2%減の49億円、親会社株主帰属当期純利益が6.1%増の32億円としている。配当予想は据え置いて21年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。

 従来予想に対して売上高は10億円、営業利益は5億円、経常利益は5億円、親会社株主帰属当期純利益は4億円、それぞれ下回る見込みで、従来の営業増益予想から一転して営業減益予想とした。半導体などの部品供給不足による納入遅延や原燃料価格の高騰などが影響する見込みだ。

 なお修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75%、営業利益が91%、経常利益が92%、親会社株主帰属当期純利益が103%となる。需要の回復、高付加価値製品の拡販、製品価格改定効果などで23年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍くモミ合い展開だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値は限定的だろう。1月31日の終値は1606円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS107円35銭で算出)は約15倍、時価総額は約505億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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