川崎近海汽船は22年3月期3Q累計大幅増益、通期予想は4回目の上方修正

(決算速報)
 川崎近海汽船<9179>(東2、新市場区分スタンダード)は1月31日の取引時間中に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。近海部門の市況上昇などで大幅増益だった。そして通期予想を上方修正(12月24日に続いて4回目の上方修正)した。更なる上振れの可能性もありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来高値圏から一旦反落していたが、上方修正を好感して急反発している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■22年3月期3Q累計は大幅増益、通期予想は4回目の上方修正

 22年3月期第3四半期累計の連結業績は、前年同期比で売上高が15.5%増の321億24百万円、営業利益が2.5倍の24億46百万円、経常利益が3.3倍の24億60百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.5倍の17億06百万円だった。なお特別利益では前年計上の固定資産売却益4億06百万円と違約金収入1億30百万円が剥落し、特別損失では前期計上の用船契約解約金3億83百万円と投資有価証券評価損43百万円が剥落している。

 近海部門の市況上昇などで大幅増収増益だった。収益認識基準適用の影響額として売上高が1億42百万円減少、売上原価が55百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ87百万円減少している。影響は軽微である。

 近海部門は売上高が37.4%増の91億95百万円で営業利益が10億78百万円(前年同期は1億円の赤字)、内航部門は売上高が9.2%増の217億24百万円で営業利益が14.1%増の15億26百万円、OSV部門は売上高が1.9%減の12億01百万円で営業利益が1億58百万円の赤字(同2億71百万円の赤字)だった。

 近海部門は、バルク輸送がロシアにおける滞船の影響を受けたため全体としても貨物輸送量が減少したが、市況上昇が継続して運賃収入や貸船料が大幅に増加した。内航部門は輸送量が増加し、入渠費や減価償却費の減少も寄与した。コロナ禍でも定期船輸送・不定期船輸送とも荷動きが堅調に推移し、フェリー輸送の旅客数や乗用車数も増加した。OSV部門は海洋調査業務が減少したため減収だが、運航費の減少などで赤字縮小した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が95億15百万円で営業利益が1億24百万円の赤字、第2四半期は売上高が106億15百万円で営業利益が8億52百万円、第3四半期は売上高が119億94百万円で営業利益が17億18百万円だった。季節要因として第1四半期は入渠費用が増える傾向がある。

 通期連結業績予想は上方修正した。21年7月30日、21年10月29日、21年12月24日に続いて4回目の上方修正である。前回予想に対して、売上高を4億円、営業利益を4億円、経常利益を4億円、親会社株主帰属当期純利益を2億70百万円、それぞれ上方修正した。

 修正後の通期連結業績予想は売上高が21年3月期比15.8%増の429億円、営業利益が6.8倍の27億50百万円、経常利益が14.4倍の27億円、親会社株主帰属当期純利益が19億円(21年3月期は1億12百万円の赤字)とした。配当予想(21年12月24日に期末50円上方修正)は据え置いて、21年3月期比50円増配の150円(第2四半期末50円、期末100円)としている。

 近海部門は市況上昇の継続、内航部門は堅調な荷動きで、いずれも前回予想を上回る見込みとしている。なお第4四半期以降の前提は、為替が1ドル=115円(前回予想時は1ドル=110円)、燃料油価格が7万8200円K/L(同7万5000円K/L)としている。修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75%、営業利益が89%、経常利益が91%、親会社株主帰属当期純利益が90%となる。通期予想は更なる上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は地合い悪化も影響して昨年来高値圏から一旦反落していたが、上方修正を好感して急反発している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。1月31日の終値は3795円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS647円25銭で算出)は約4倍、時価総額は約112億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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