ゼリア新薬工業は22年3月期3Q累計大幅増益で通期利益予想を超過達成

(決算速報)
ゼリア新薬工業<4559>(東1、新市場区分プライム)は2月2日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの好調推移などで大幅増益となり、通期利益予想を超過達成した。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、利益は再上振れが濃厚だろう。収益拡大基調を期待したい。株価は地合い悪化の影響で昨年来安値を更新する場面があったが、その後は反発の動きを強めている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■22年3月期3Q累計大幅増益、通期利益は再上振れ濃厚

 22年3月期第3四半期累計連結業績(収益認識基準適用)は、収益認識基準を遡及適用した前年同期実績との比較で、売上高が11.7%増の451億04百万円、営業利益が41.6%増の54億95百万円、経常利益が57.6%増の56億13百万円、親会社株主帰属四半期純利益が9.2%増の40億43百万円だった。

 医療用医薬品事業が牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が好転(前期は為替差損4億25百万円、今期は為替差益1億31百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期は3億75百万円、今期は14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億78百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高が22.6%増の275億29百万円で営業利益(全社費用等調整前)が62.6%増の55億43百万円だった。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域で苦戦したため減収だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外市場で好調に推移し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも増収に貢献した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.9%減の174億55百万円で営業利益が13.2%減の35億09百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品が競合の影響などで減収だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円だった。

 通期連結業績予想(収益認識基準適用、21年11月1日に利益を上方修正)は据え置いて、収益認識基準を遡及適用した前期実績との比較で、売上高が13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。為替差損益の発生は見込んでいない。配当予想も据え置いて21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が75.2%、営業利益が103.7%、経常利益が107.9%、親会社株主帰属当期純利益が109.3%となり、各利益は通期予想を超過達成している。新型コロナウイルス感染再拡大の影響や為替相場など不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、利益は再上振れが濃厚だろう。収益拡大基調を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は地合い悪化の影響で昨年来安値を更新する場面があったが、その後は反発の動きを強めている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。2月2日の終値は1939円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円84銭で算出)は約24倍、時価総額は約1030億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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