【注目銘柄】東京製鉄は業績上方修正を見直し売られ過ぎ修正期待

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 東京製鉄<5423>(東証プライム)は、今年7月22日に今2023年3月期第1四半期(2022年4月~6月期、1Q)決算の開示とともに、今3月期通期の第2四半期(2022年4月~9月期、2Q)累計業績と通期業績の上方修正を発表したが、株価は、マイナス反応して1325円まで下ぶれており、売られ過ぎとして割安修正期待の下値買いが優勢となっている。株式需給的にも下値買いで信用買い残がやや増加に転じているが、今年4月に取締役会決議した自己株式取得が着々と進んでいることも綱引きし、フォローの材料視されている。

■製品出荷単価の上昇が続き鉄スクラップ価格は想定を下回る

 同社の今3月期通期業績は、期初予想より売り上げを40億円引き下げたが、営業利益と経常利益を各90億円、純利益を75億円引き上げ、売り上げ3970億円(前期比46.2%増)、営業利益390億円(同22.7%増)、経常利益400億円(同19.7%増)、純利益315億円(同1.4%減)と見込み、連続の増収増益率を伸ばす。製品出荷単価が引き続き上昇し、鉄スクラップ価格が想定を下回り、全社一丸で継続推進したコストダウンなどが寄与する。なお鉄スクラップ価格の値下がりで1Q期末に原料在庫の評価損が発生し、2Qもこの評価損が続くことなどから、通期純利益は小幅減益転換を予想している。

 一方、自社株式取得は、期初に取得株式総数280万株(発行済み株式総数の2.42%)、取得総額上限30億、取得期間を今年4月25日から12月31日までとして決定され、7月31日までに着々と取得を進め、累計取得株式数は143万6400株、取得金額は19億5695万円と予定取得株式数の過半まで達した。なお同社の今期配当は、年間30円(前期実績25円)へ連続増配が予定されている。

■PER4倍、PBR1倍の修正で年初来高値からの調整幅の半値戻し目指す

 株価は、前期業績も四半期決算のたびに3回上方修正され、そのたびごとにポジティブに反応したが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻に伴う世界同時株安のなか年初来安値1018円まで下ぶれ、今期業績の続伸・連続増配予想にEV(電気自動車)鋼板の準備プロジェクト発足などの好材料が続いて年初来高値1669円まで63%高した。今期業績の上方修正では、材料出尽くしとして1325円安値まで再調整し、売られ過ぎとして底上げに転じてきた。なおPERは5.0倍、PBRは1.01倍と割り負けており、信用買い残増加と自己株式取得進行の需給が綱引きするなか、まず年初来高値から直近安値への調整幅の半値戻し水準の1497円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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