☆株ロマン☆ 時々の話題を夫婦の会話でお届けします

トヨタ自動車の今期の厳しい予想数字について


■「マーケット情報の独り歩き」に警鐘の効果は大きかった

妻トヨタ自動車<7203>の業績見通しが厳しいことで話題になっています。

夫そうだね。連結ベースでの09年3月期は4610億1100万円の営業赤字だった。10年3月期も8500億円の営業赤字の見通しだから、たしかに厳しいね。

妻ある、アナリストさんのコメントが新聞に載っていました。「どうして、あんなに厳しい数字が出るのか理解できない」、ということです。わたしも、そう思うわ。折角、いい相場になっていたのに水を差された感じです。

夫僕は、そうは思わない。経営者の立場になってみると、100年に一度と言われる大不況の中で楽観的なことは言えない、と思うんだ。

妻新型のプリウスも発売しますし、買い替えには国の支援もあるでしょ。誰だって、悪いはずはないと思いますわ。

夫明るい材料のあることは、その通りだと思う。しかし、それだけで、大幅に業績を回復させることにはならい。販売台数を国内と海外で分けてみるとはっきりする。09年3月期の販売台数は756万台と134万6000台減少した。この内、国内の販売台数は194万5000台(24万3000台減少)と、全体の4分の1程度にすぎない。国内だけでは、全体の台数を大きく押し上げるのは難しい。

妻そうね。08年3月期並みの台数890万台には、国内でプリウスが売れたとしても無理ですね。やはり、世界の景気が回復しなくてはだめ、ということですか。

夫そうだね。トヨタ自動車は世界のマーケットを相手に商売をしている企業だから、日本だけ見ていてはいけない。そのかわり、世界の景気が上向いてきたら、同社のハイブリット車などの優位性が発揮されて一気に上向くと思う。

妻くどいようですが、トヨタ自動車に対して、マーケットの期待は強かったのに。

夫その点についても、少し、言いたいことがある。今のマーケットは、産業界の動きとは遊離している感じがする。

妻どういうことですか。マーケットが勝手気ままということですか。

夫決して、いい加減ということではない。ただ、アナリスト発のマーケット情報が「独り歩きしている」ように思われる。

妻アナリストも商売ですから、当るレポートは機関投資家や外国投資家向けには高い値段で売れるそうですわ。

夫たしかに必死だと思う。マーケット自体が、それほど活況ではないのにアナリスのト人数は多くて、競争は激しい。たくさんのアナリストを抱えている研究所などは経営的に非常に厳しいという声は聞かれる。いくら立派なレポートでも買ってくれるところがないと。勢い、レーティングを上げたり下げたりすることが頻繁に起こりうる。『株屋殺すには刃物はいらぬ』、と言われるように相場が動かないと、証券会社もアナリストビジネスも盛り上がらない。

妻情報公開は必要なのに、それをビジネスにするとなると難しいのね。

夫もともと日本では情報をお金にするのは難しいと言われてきた。上場企業は情報公開の大切さは分かっている。しかし、マーケットが独り歩きすることには違和感があると思う。特に、物作りの企業側から見れば、金融界に対して文句のひとつも言いたいようだ。ほかの産業界のことばかりをあげつらう前に、もっと自分たちの金融界の業績をきっちりやりなさいということを聞く。金融界だって、大変な赤字を出しているということのようだ。

■常にマーケットと発行体の情報に謙虚に耳を傾けることが大

妻最初に戻るけど、トヨタ自動車の業績予想は株価的にはよかったのですか、悪かったのですか。それとも、マーケットが過大評価していた、ということですか。

夫株価に、「高くなってほしい」という願望は強かったと思う。株価が上がれば、株ビジネスは活況になる。しかし、昔から、言われてきたことだけど、『相場が言わせる』ということがあった。相場の動きから判断して、きっとこうなるに違いないと期待してしまう。相場が強い動きをしているのだから、業績などの材料も良くなるはず、という決め付けに近い思いがマーケットのコンセンサスとなってきつつあった。企業側の思いとは違った独り歩きになりつつあった。相場の方が正しくて、背景となる社会情勢の方が間違っているという見方だったように思う。

妻株には先見性があるのですから当然ですわ。

夫確かに、先見性は否定しない。しかし、トヨタ自動車の株価が上がってきた背景には、業績の回復期待だけではなかった。大きく下げ過ぎたリバウンドもあったし、空売りの買い戻しもあった。それを、一気に販売台数が回復するような錯覚をマーケットに定着させてしまった。放置しておくと、間違っているのは企業側ということがまかり通ってしまうことにもなりかねない。今度のトヨタ自動車の厳しい予想数字は、マーケットと企業側との見方の違いを提示してくれたと思う。マーケット側に思い込みがあったと思う。「株の上がることは、誰も異論はないはずだ」と。こんどのトヨタ自動車の予想数字はマーケットの独り歩きに注意をしてくれた意義は大きいと思う。常にマーケットと発行体情報の両方に謙虚に耳を傾けることが大切だね。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2009.05.10 |特集